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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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朝食は固いパンと干し肉のスープは定番 6

 うーん。貴族風の言葉遣いは、あたしには難しすぎる。なるべく貴族っぽい言葉で、彼女とは話すようにしているけれど、何となく嘘くさい。説得力なさげ。

「後から奥様はやってこられるのでしょうし。出発の時に、お約束をしているのだから、確りと役目を果たさなければならないのではありませんか」

 メイドのドリーさんみたいな言い回しになってしまう。あたしの台詞とは思えない。彼女の心に響かないだろうなと思いながら、あたしは言葉を紡ぐ。自分でも思っても居ないことを言われても、納得したりしないよね。

「建前は良いのよ。その役目って何よ」

「うっ。」

 私のあたしの頭では、前世での政治家がやってとパフォーマンスだと思っているのだけれども、十二歳の子供に其れが納得できるかって言うと、其れを納得させる言葉を、思いつかない。たぶん其れが政治だとは解るのだけれど、高校生だった頃のあたしでも本当には理解していなかったのだから、ましてや子供には解らないよね。

「酷い目に遭っている村の衆は、夜も眠れないくらい不安だと思うのよ。だから、領主様は皆を見捨てないと言うことを、知らせなければいけないの」

「なら、お母様が来れば良いことじゃない」

 あたしも頷きそうになりながら、彼女の言葉を聴いている。でも、領都でのテロ事件を知っている身の上としては、デニム伯爵夫人が今は領都を離れる事が出来ないのも解る。あの事件を収拾するのには、彼女の采配が必要なのだろう。

 あれがなければ、この第二次救援隊のはアリス・ド・デニム伯爵夫人が旗頭となってきていたかも知れない。実際に、災害救助を執り行うのは、兵隊さん達なのである。貴族が来たからと言って、劇的に災害復興が早まるわけではない。それでも、平民とって自分たちを支配している人間が、見捨てたりはしないと、思わせることは大事なんだろう。

 もちろん領主様がやって来た方が、平民は安心するけれど。でも、領民にとって領主様の娘が小さいのに、やって来てくれるだけでも嬉しかったりするのかも知れない。

「それはそうかも知れないけれど、できないから行ってと頼まれたのじゃないの」

「お母様のお願いだけれど」

「なら、きちんと頼まれたことを遣ろうね」

 あたしだんだん地が出てきた。このまま喋っていると、田舎者言葉が出てきてしまいそうだ。普通の不良には難しすぎる。

 何であたしが、こんな子のために説得しなければならないのよ。あたしだって十二歳の餓鬼には違いないのに。他の大人の人が説得するのが筋でしょうに。



読んで頂けてありがとう。

なんかようやく主人公が動き出したかな。


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