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お姉ちゃんは悪役令嬢?8

 かなり強い雨音が聞こえている。ここはデニム家の屋敷の二階部分の、装飾品の無い簡素な部屋。少なくとも、娘の命の恩人を迎え入れる様な所ではない。

 あたしの座らされている椅子の前には、簡素な机が置かれており。向かい側には、30才ぐらいの文官みたいな男の人が座っている。名前はジャスミン・ダーリンとか言っただろうか。この名前には覚えが無いので、ストーリーには関わらない人物に違いない。 父ちゃん達も別室で、事情聴取されているらしい。助けて遣ったのに、この扱いってひどくない。まるっきり犯人扱いである。

 ただこいつはあたしが子供なんで、かなり油断しているみたいで、今の状況について、話してくれていた。見た目は子供って、こんな時は便利よね。中身はだいぶ違うけど。

 この部屋に通されてから、ずいぶんな時間がたっている。12才の子供には辛いんじゃないかなと思うのだけれど、平民には人権は無いので相方が無いかも知れない。あたしは前世で、いわゆる取り調べを受けたことがあるので、多少は耐えられるのだけれど、普通の子供には耐えられないんじゃ無いかな。

「もう一度ちゃんと事情を説明してくれないかな。なぜ君たちは、お嬢様が誘拐されることに気がついたのかな」

 この質問は、相手を変えて既に10回以上応えている。あたしの名前や、父ちゃんや母ちゃんの名前にいたっては38回は応えている。それ以外に、色々と応えさせられているのだ。3人別々に尋問することで、見えていない企みをあぶり出そうとして居るみたい。

「既に10回以上説明していたと思いますけど。どこか矛盾がありますか?」

 あたしはだんだん嫌になってくる。正直お家に帰りたい。こちらとしては、秘密だけど妹が死ななければ、あたしが悪役令嬢になる未来は消えるわけで、ちょっと賢い平民の女の子として生きて行くことができる。もしも、妹が悪役令嬢になって破滅したとしても、知らない子が暴れたあげく、国とともに滅ぶだけだし。

 危なくなったら、ゲームの知識を生かして上手く立ち回り。身内共々安全圏に潜めていれば良いのだ。あたしにとって、貴族達の権力闘争なんかどうでも良いことなのである。

 ノックの音が響いて、ジャスミンさんが返事をする。すると、やけにかしこまった兵士が部屋に入ってきた。

 その兵士は、ジャスミン・ダーリンさんに耳打ちする。

 それを聞いた彼は苦笑を浮かべて、あたしに声かけてきた。

「良かったな。君たちの疑いは晴れたよ」

 なんだそれは・・・。あたしは命の恩人だぞ。

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