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眠れない夜

 第二次救援部隊は、この場所で一晩泊まることになった。出発が遅れたので、流石に夜の行軍は、マリア・ド・デニム伯爵令嬢をつれている時点で、無理である事は明白であり。村に着いた途端に、行動不能になるわけには行かない。

 いくつかのテントを設営して、それぞれに分かれて眠る事になった。ちなみにあたしは、馬車の中に止まらせて貰う事に成った。なぜか、マリア・ド・デニム伯爵令嬢と、メイドのドリーさんも一緒である。今の時期は、夜とは言え暑い位なので、虫や蛇の対策が出来るなら、星を見ながらでも、問題は無かったのだけれど。

 マリア・ド・デニム伯爵令嬢が、執拗に言い張ったための現状である。もしかしてツンデレ。

 あたしは、馬車の床に毛布を敷いて、寝る態勢を作った。たまに、荷馬車の荷台で寝ることもある、あたしとしては悪くない。まだ子供の身体は、馬車の床とは言え、狭いとは感じられない。十分上等な寝床だ。

 座席の上に簡易な寝床を作って、寝ている二人が、落ちてきたらたまった物ではないだろうと思うけれど、それなりに二人とも気を付けている様子ではある。本当は、テントの方が良いとは思うのだけれど、やはり伯爵令嬢が聞かなかった。寝た気がしないんじゃないかな。

 実は今、あたしは目が覚めてしまい。少し困っている。目がさえて眠れない。

 勿論村のことも心配でも、今のあたしにはどうすることも出来ない。村の衆の顔を思い出すたびに、胸が苦しくなる。明日には、村のに到着だろうけれど。領主がどのように考えているかによって、領民の生活は極端に変わる。

 ただ、あたしの知っているゲームの中には、こんな事全く描かれては居ない。恋愛ドラマの背景の中にある、悲惨な現実が此れなのだろうか。そして、此れから起こってくる内戦と、隣国による侵略戦争によって、どれだけの人間が殺されてゆくのだろう。

 この世界に生きている者に取っては、紛れもなくリアルであり。当然、あたしにとっても重たい現実には違いない。

 本当のこと言えば、マリア・ド・デニム伯爵令嬢を助けた時点で、あたしは悪役令嬢では無くなっているはずで、旨く立ち回ることが出来れば遣っていけると思っていた。でも、此れから起こる事を、知っているのはあたしだけなんだ。此れから起こる多くの犠牲を強いるエピソードが、背景の中にはあったのだから。

 あたしみたいな、ただの不良に何が出来るのだろう。そして、このことを誰に話すことが出来るのか。そんな事を考え出したら、更に眠れなくなってきた。


ブクマありがとうございます。

読んでくれて嬉しいです。


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