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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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ナーラダ村へ 6

読んでくれてありがとう。

大変嬉しいです。


 馬車3台に、荷馬車8台その周りに、騎兵が十二騎という大所帯である。一行は林をでると、見通しが良く下草がかられている広場に集まって止まる。ここは隊商などが、時折休むために使っている場所である。この国の街道には、こういった場所が所々に用意されている。勿論安全というわけではないが、拓けていない場所よりはましである。

 ちなみにこの広場から、少し北へ向かうと川にたどり着くことが出来る。今は、高い背の草が生えているので、川を見ることは出来ないけれど、解っている旅人にとっては、手軽に水や食料を手に入れる事が出来るかも知れない場所である。運が悪いと大型肉食獣に出くわす可能性もあるのだけれど。それでも悪くない場所だろう。

 あたしは、兵士さんの動きがスムーズなのに、たいした物だなあと思いながら、眺めている事しか出来ない。マリア・ド・デニム伯爵令嬢に付いて来ているメイドさんは、全部で三人。彼女たちは、既に火をおこして、お湯を沸かし始めている。鍋やポットを取り出しているところを見ると、食事の準備をしているのだろう。他には、兵士さん達も同じように食事の準備をしている。父ちゃんは、若い兵士を引き連れて、バケツを持って川に向かおうとしていた。馬の飲む水を用意するのだろう。

 ちなみに、あたしと同じ馬車に乗っていた人間の中で、仕事を割り振られなかったのは、あたしとマリア・ド・デニム伯爵令嬢のみだった。内心困ったことになったなーと思いながら、彼女の顔をのぞき見る。馬車を降りたところで、ドリーさんに、伯爵令嬢の相手をするように言われたけれど、どうやって相手したら良いか解らない。

 あたしも、水汲みに言ってしまいたい。さもなければ、兵士さん達とテントの設営のお手伝いを遣りたいなーと思う。マリア・ド・デニム伯爵令嬢とお話しするより楽なような気がする。本当は、彼女とは姉妹なのだけれど、全く実感がわいてこないのだ。

 あたしは心の底から、ため息が漏れてくる。元々あたしは、コミュニケーション能力に乏しい女なので、楽しい会話って出来ないのよね。ましてや、御貴族様のお嬢様とお話しするなんて、無理だと思う。

「助けてくれて、ありがとう」

 顔をこわばらせて、マリア・ド・デニム伯爵令嬢がぽつりと言った。あたしは、その唐突さに、二度見した。

 彼女の顔が、みるみる赤くなってくる。もしかして、ずっとあたしにお礼を言う機会を覗っていたのかしら。二人っきりになるのは、此れが初めてかも知れない。この子はすごい不器用なのかも知れない。

 あたしはなんともなしに笑いたい気分になった。これだけで、嫌な感じが薄らいでくる気がする。


 

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