ナーラダ村へ 4
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カンカンという火打ち石を打ち鳴らす音が、そこら中で聞こえる。おのおのの持っているカンテラに、火を入れる種火を作っている。全員こういった事は、慣れきっているので、あっという間に、カンテラに灯りが灯る。まだ明るいけれど、あたしもこのタイミングで灯りを点けるのは正解だと思う。
御者台の座っている兵士さんは、カンテラを取り付け金具にぶら下げると、馬車を引いている二頭の馬に、動き出す様に合図する。馬車はゆっくりと前進し出す。止まるのも動き出すのも、慎重である。
ちなみに父ちゃんは、最後尾を馬に乗って護衛として、付いて来ている。これだけの戦力がそろっていれば、よほどの馬鹿でも無い限り、襲って来たりはしないだろう。
お腹がすいた。誰か気を利かせて、何か食べ物をくれないかしら。林をでるまでは、休憩にはならないみたいなので、この馬車の中には、あめ玉みたいな物を持っている人は居ないのだろうか。持っていたとしても、平民であるあたしにくれたりは、しないのかも知れないのだけれど。
「貴方みたいな人がなぜこの馬車に乗っているのかしら」
マリア・ド・デニム伯爵令嬢が、なんかあたしに八つ当たりをする事にしたみたい。トゲトゲの声をあたしに向かって発してくる。この子もお腹すいてるんじゃないかな。八つ当たりするなら、あたししかいないかも知れないな。
周りは全員年上だし。中々文句も言いづらいかも知れない。その点、あたしは同い年だし。てゆうか、姉妹だ物ね。彼女はそのことを知れない。
たまたま、彼女の命を助けたので、そのお礼として、あたしを雇ったとしか考えていないのだろ言う。まあ顔もそっくりなので、影武者にするのにちょうど良いと、説明されているのを、あたしは聞いた。
あたしだって、こんな空気の悪い馬車なんかには、乗りたくはなかった。あの厳しいメイドさんに、この馬車に乗るように命令されたからなんだけど。勿論口に出しませんが、何なら父ちゃんと、タンデムしてもよかったんだけど。その方が気楽だし、こんなに暑苦しくもなかっただろうし。トゲトゲの相手支度もないし。