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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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余計なお世話 6

 あたしにはあまり込み入ったことを説明することが出来ない。何しろ高校中退の上、この世界では学校という物に通ったことがない。まあ、平民は基本的に学校のような物には通わないのである。

 読み書き計算などは、裕福な家の者しか、学ぶこことが出来ない。平民の識字率はとてつもなく低い。ただ、あたしは前世の記憶がある上に、父ちゃんがの教育方針で文字も読めるし、書くことも出来る。計算は、少なくとも高校生程度のことは出来る。村では一番賢い子供だった。

 でも交渉は訳が違う。前世では、そんなことはやったこともない。あたしは此方に来てからの方が、人の説得的なことはよくしている。それでも、貴族様を納得させる話術は持っているわけがない。なんと言ってもあたしはまだ子供なのだ。それでも、言っておかなければいけないと思う。

「其れはどういう意味かしら?」

 伯爵夫人は、口元をなぜかほころばせながら訪ねてくる。

 あたしは、頭っから否定する態度でないことに、ほっとする。少なくとも考えてはくれるみたいだから。

「まだ、村のことは判っていないのですけれど。決壊した運河の側に粉碾き小屋と、パンを焼くための石窯小屋があったはずなので、もしかすると、水に流されているかも知れません。そうなったら、小麦を持って行ったとしても、パンを焼くことは出来ないでしょうし。救援隊が村の食料を食べてしまっては、困ってしまうことになると思うからです」

「ではどうするべきだと思いますか?」

 伯爵夫人がこのことを、あたしに投げかけたときに、メイドさんが紅茶を入れたカップをあたしの前に、コトリ

とを立てておいた。紅茶にはミルクがたっぷりと入れてある。

「まず食料が少ないと思います。持って行くのなら、石窯ではなく、どの家庭にもある物で、調理して食べられる物を、持って行く方が良いです。でないと、其れでなくても大変な村の衆が、飢えてしまうことになりますから」

 伯爵夫人はあたしの話を、なぜかニコニコしながらきてくれる。彼女の隣に座って、苦虫を噛み潰したよう中尾をしている文官のおじさんとは対照的である。もしかして、このおじさんは第二救援隊の、指揮官なのかな。だったら、無能かも知れない。





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