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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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余計なお世話

 未だに火事に成ったところからは、白い煙が上がってる。あたりが明るくなったので、領都の井戸から水をくみ出しては、焼けた建物にかけ続けている。完全に鎮火するにのには、まだ時間が掛かることだろう。日が変わって、風がずいぶん弱まってくれているので、これ以上の延焼は起こらないだろう。少しは安心する雰囲気があたりに広がってきている。

 第二次救援部隊は、荷馬車十台に荷馬車三台と、護衛の騎兵が十騎。それに付き従う歩兵が、二十人という大所帯である。ちなみに、馬車は伯爵家も紋章入りである。荷馬車はこの領都で、商いを営んでいる者達からの、徴用した物だそうである。

 荷馬車には、主に鍬矢たるなどの工具が乗せられている。食料の類いは、一台の荷馬車のみに乗せられている。あたしは、何となく違和感があって、これだけでは上手くいかないのではないかと思った。あたしが小さかった頃にあった、救援に行くのは良いことだけど、現地に居る者達に負担を強いる形になっては居ないだろうか。これだけの人間が行くのに、この程度の食料では足りないかも知れない。まさか、村にある食料を当てにしているのではあるまいか。そんな気がした。

 ずっとテレビの人が、ボランティアに向かう者の、心構えについて話していたことを覚えている。少なくとも、助けに行くなら、現地の人間の負担になってはいけない。助けに来てくれただけでも、喜んでくれるかも知れないけれど、行って邪魔してはいけないのだ。

 持って行く食料が、少なすぎる気がする。ナーラダ村では、まだ小麦の刈り取りは済んでいなかったはずで、大して備蓄はなかったはずなのである。

 あたしは、村の主要施設がどこにあったのか、思い出そうとしていた。普段意識していなかったので、どこに何があり。其れが痛んでいた運河の堤防から、どの位置にあったか思い出せない。村長の屋敷は高台にあったはずなので、問題ないかも知れないが、村の衆の家はどちらかというと、畑の中に点在していたはずで、場合によっては酷いことに成っているかも知れない。

 ナーラダ村から下流域にも村はあるのだ。実際この規模では足りないかも知れない。せめてもう少し食料を多く持って行った方が良い気がする。あたしは、雇われたばかりの護衛にしか過ぎないけれど、なんとかして話を聞いて貰えるようにする事を、考えなければいけない。そう思った。



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