表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/1214

夜の散歩 13

いつも読んでくれてありがとう。

 あれからしばらく経って、あたし達は街の中心付近にある公園を見下ろす教会の、正面中央に有る、高い塔の最上階に陣取って、異変がないか気を配っている。無い物ねだりではあるけれど、前世にあった通信機がほしい。ここからは、領都の様子が一望できる上、公園で治療に当たっている人々の様子も見える。ちなみに、伯爵夫人は公園で、避難してきている領民とともに居る。

 流石に、ここからでは、何をしているのかまでは解らない。

 未だに火事は、鎮火の気配はない。ただ、周りの建物を壊し始まっているので、流石に燃え広がるのは、辛うじて止めることに成功している。街に住んでる男達も協力してくれているので、だいぶスピードアップしてきている。それが命令ではなく、デニム伯爵夫人がきたことで、みんなが率先して動き出した。

 ここから見ている限りでは、放火犯人を見つけることは出来そうも無い。もっとも、見つけることが出来たとしても、ここからでは何も出来はしないのだけど。あたしは、つくずく現代日本は便利に出来ていたのだなあと思う。

 あたしは、せめて消防隊みたいな物があった方が、良いのかも知れないと思った。後でそれとなく話してみようかな。

 そんなことを考えながら、 あたりを見張っていると、向かい側の建物に、何者かが登ってくるのが見えた。

 そいつは、職人風の格好をして、短髪の黒い髪にうっすらと無精ひげ。肩には弓を提げている。腰には、矢筒を下げている。間違いなく暗殺者よね。こっちも同じ格好だけど。

 こっちはSPだから、怪しくない。ところで、SPつて何の訳だっけ。ドラマなんかに出てくる言葉で、格好良く誰かを守る人なんだけど。何となくテレビ見てたから、解んないや。ここじゃ誰かに聴くわけに行かないしね。

 教会前の公園は、篝火が焚かれており、明るい。当然のことだけど、狙撃手にとっては好条件だろう。しかも上からならば、飛距離も伸びる。

 奴は、此方にはまだ気付いていないみたいだ。何しろ此方は、灯りを持っていない。あたしのは関係ないから。

「父ちゃん、お客さんだよ。お仕事しようか」

「おまえみたいには見えないんでな。説明しろ」

「向かいの、建物の屋根の上に上がってきた。奴は弓を持ってる。たぶん狙撃しようとしてるんだろう。狙いは明らかだよね」

 父ちゃんは、にやりと悪い笑いを浮かべて、強弓を準備した。今回は毒矢を使う。勿論毒と言っても、すぐ死ぬような物ではない。暫くの間、動けなくなって貰うだけだ。

 屋根の上だから、落ちてどうにかなるかも知れないが、暗殺を企てるような奴の安全を考慮する余裕は、あたし達にはない。いけないことをしようとしているのだから、其れは止めないと。


 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ