探偵の真似事 6
「勿論理解しております。こう見えても私は、貴方の御父様とは肩を並べて、奥様のために走り回っておりましたから」
「もしかして、其れは父ちゃんのことだよね。昔の父ちゃんはどんな人だったか知っているの」
「彼奴は嫌な奴でした。何時も奥様の隣にいて、命がけで御守する。どうやっても、私には勝てない相手でありましたが。真っ直ぐで良い奴ではありました。其れがあんな事にならなければ、今でも護衛騎士として、勤めを果たしていたでしょう」
そんな事をあたしに話しながら、狩猟ギルドの建物を出る。大夫日が落ちてきて、辺りが暗く成ってきたのにも関わらず。リントンさんは、連中の隠れ家に踏み込む積りみたいだ。
「当時の私兵の中で、夜の森の中を単独走破できたのは、私と御父様ぐらいでしたよ。貴方を捨てに行った彼奴に、気付かれないで見張ることが出来たのは、この私だけでした」
「……」
「こうして、貴女とお話しできる事は、奇跡的な事です。貴女がお生れに成った時の事は、未だに忘れる事が出来ません。実際辛かった」
そんなことを言われても、あたし的には態度を変えることは出来ないかな。だって、森に中に赤ん坊を捨てるって言うことは、間違いなく獣の餌って事だからさ。何故、あたしを捨てなければ行けなかったか知っているけれど。だからといって、その事を無かったことには出来ないかな。
「今そんな事を話されても困るだけだから、その事は言わないでくれるかな。あたしは生きているし、捨てられたからって恨んでいないから。だからといって、奥様の子供には戻れないけれどね」
この人は、父ちゃんがあたしのことを捨てるのを、見張っていた人だ。さくらいろのきみに・・・のスチルに、あたしを捨てる父ちゃんの映像が有ったのだけれど。そのスチルの中に、男の顔が有ったのを憶えている。何となくではあるのだけれど、その顔の特徴がリントンさんに似ている。
リントンさんは、さっき夜の森の中を単独走破出来るのは自分と父ちゃんだけだって言ってたから、スチルに描かれていた顔はリントンさん以外考えられない。あたしが捨てられるところを見張っていたんだ。
その辺りの事を、あたしは父ちゃんから聞いては居ないのだけれど、爺さんの命令だった事は、ゲームさくらいろのきみに・・・で説明されていた。そのゲームの中の、あたしがマリアを殺して、マリアに成り切ったのは、赤ん坊だったあたしを捨てた、デニム家に対しての復讐の一環だった。それからは恐ろしい行動が続く。そして、最後に自分の破滅と同時にこの国を、地図から抹消することに成功する。
あたしに言わせれば、御前ふざけてるんじゃ無いよ。そんなつまらない事をしても楽しくないだろう。そんな事をするくらいなら、もっと楽しいことを為た方が良い。家族に対する復讐のために、皆を道連れに為てんじゃ無いよって言いたかった。
そんなあたしが、選りに選ってナーラダのリコに転生する何て、何て皮肉だなーと思ったのは内緒だ。あたしが、あんたの代わりに幸せになってやるよ。だから、マリアを助けたのだから。
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