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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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夜の散歩 9

読んでくれてありがとうです。


「思っていたより手回しが良いですね。かなりの窮地になりますわね」

 伯爵夫人が、まるで他人事のように言っていた。命令になれた貴族の声音だ。

「領都に着き次第、兵士の指揮権を私がすべて把握。まずは可能な限り、消化を優先します。水による消化は間に合わないでしょうから、破壊消化を主にすることにします。例外はなく、火元の周りをすべて壊してしまいなさい。責任は私が取ります」

 伯爵夫人に馬車の中で話して貰った、標的となる間者を静かに捕らえることは出来なくなった。その方が安全で、それほどの手間を必要としないはずで。夜のうちに決着が付くという説明だった。でも、これじゃそうはいかないかも知れない。かなり危険なイベントになった。

 まだ嵐の尻尾は残っている。何カ所も放火されているため、この領都に常駐している兵士の数だけでは、対処できそうもない。洪水の対処のために、私兵をかなり送り出してしまっている。当然のことだけど、この街に常駐している兵士も送り出されている。手がないのである。

 あたしはこのデニム伯爵夫人の顔を二度見する。あたしが持っている、貴族の夫人に対するイメージと、かけ離れている言葉にびっくりした。社交界の会場で、あははおほほしているのが、あたしは貴族だと思っていた。仕事なんかしないで、遊んでいる者だと想っていた。

「奥様。鼠の対処はいかが致しましょう?」

「勿論其れも平行します。放火は重罪です。それだけでも、許せる物ではありません。予定の通りには出来ないでしょうね。館から来た者は、鼠退治に専念してください。領都に置いていた兵には、火事の対処に専念して貰います。」

 ガタンと言う音とともに、馬車がゆっくりと止まる。南のもんに到着したのである。左右の棟から焦った顔をした、兵士達が飛出してくる。その数は二人、少なすぎる。さっき飛出していった、レムスとか言う騎兵から伝言があったのだろう。

「お嬢様ご苦労様です。申し訳ありません。火事を防げませんでした」

 真っ先にでたのは、その言葉だった。よく見ると、立派な鎧の所々が焦げている。少なくとも、彼は小隊長みたい。父ちゃんより年上みたい。きちんと敬礼をしながら、馬車の扉を開ける。その仕草は、考えなくても其れが出来るみたいである。この非常識な状況下でも、普段の動きが染みついている。

 青ざめた顔には、もしかすると火傷して居るみたい。あたしは、今治療しないと、やばくなかったかなと想う。その当たりうる覚えではあるけど、せめて冷やさないと行けないと想う。

「重傷者は一名おりますが、今のところ他は軽微な怪我人で済んでおります。放火犯人については、全く判っておりません」

 あたし達が、ぞろぞろと馬車から降りるのを待たずに、小隊長さんはデニム伯爵夫人に対して、簡単に状況を説明し始める。その間、ずっと敬礼は解かない。律儀な人だなとあたしは想う。







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