探偵の真似事 5
「本当に信じて良いんですよね」
マシュー君は不安そうに、あたしの顔を見詰める。あたしは心の中で、大丈夫だと思いながら、力一杯頷いてみせる。どのみち、このままだとマシュー君には良い未来はないのだから、怖いかも知れないけれど、あたしの事を信じて貰わなければいけない。
「信じてくれたら、私は憂いしいな」
「判りました。どのみちこのままでは、俺に助かる道はないでしょう。お姫様のことを信じてみます」
マシュー君は、漸く他の連中が隠れている隠れ家の在りかを話しだした。そこは森の比較的浅い場所にあるけれど、他の狩人仲間に知られていない場所だった。
そこに手作りの小屋を作って、もしも夜に成ってしまった時に、獣から身の安全を図り。ゆっくりと休む事が出来るように為てある場所だ。矢張りそういった物を持っていた。
ギルドもそう言った避難所を、森の中に設けているのだけれど。大概の猟師は、親から教えられている避難所を持っている。特にこの連中は、ギルドが取り締まっている密漁を為ていたのだから、隠れ家に成るような場所を用意していると思ったんだ。なんせ、かく言うあたし達も秘密の隠れ家を持っていたのだから。因みに其処では、旨いわき水がでているので、実際快適な場所だ。
真っ先にギルドの追っ手は、正式な避難所は確認しているはずで、其処を探しているにも関わらず。彼らを見付けることが出来ないと言う事は、何処かに秘密の塒があるって言うことだ。
あの二人は怪我をしている。そうほいほい逃げ出す事なんか出来ないだろう。だから、マシュー君が帰るのを待っているはず。勿論あまり時間を掛ける事は出来ないだろう。恐らく明日の朝までは待っていないだろうから。
あたしなら、マシュー君が失敗したと判断すると、逃げ出す。家族の事が心配だろうけれど、領都まで戻ってくる事はないだろう。のこの自警団に捕まる。そうなれば、自分がどうなるか解っているはずだから。
「今夜の内に見つけ出したいですね。でないと、もしかすると本当に悪い奴を見付ける事が、出来ないかも知れませんから。何、心配は要りませんよ。姫様が帰らなくても、何方も心配はしておりませんから」
あたしの耳元で、リントンさんが囁いてくる。大変優しそうな声音だけれど、何処か怖い物が混ざっている。
「夜の森の怖さは知っているんだよね」
あたしは思わず地が出た言葉を返す。正直ここまで来ると、後へは引けない感じに成ってしまっている。マリアの言うモンスターの能力をフルに使えば、夜の森の中も、其程危険ではない。実際この間だって、真っ暗な森に中に分け入って、罠を仕掛けていたのだから。もしかすると、リントンさんはその事を、知っているのかも知れなかった。
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