探偵の真似事 3
「あんたの事を信じられないんだが。本当に助けてくれるのか」
マシュー君は当然の事を言ってくる。こんな事になっちまって、あたしの事が信じられないのも解るのだけれど。それでも信じてくれないと困った事に成ってしまうだろう。同じ平民での猟師仲間を信じてく れてほしいものだ。
「他に方法は無いだろうよ。あたしを信じてくれないかな」
「まあ、確かに俺達の家族を、自警団から守ってくれたのは、たしかみたいだから、あんたを信じるしか無いのかも知れないな。俺達はあんたを殺そうとしたわけじゃ無い。信じられないかも知れないけれど、ガイアの奴が命令を受けたのは、あんたを禁猟区に追い込む事だけだった。俺達は時々禁猟区に入って行って、猟をしていたけれど、同じ猟師に対して攻撃を為たことは無かった。これだけは信じてくれ、あんたを殺そうとなんかしていない」
あたしは、だろうなと思った。最初の内は、禁猟区の方に追い詰めようとしていたみたいだから。其れは納得の行く事だ。
いくら何でも、あの距離で矢を統べて避けきる事なんか出来ない。それでも最後の頃は、結構狙ってきていた気がするけれど、今はその事は言わないでおこう。
其れが本当の事なら、あたしのことが邪魔な人間がいるって事かな。たんなるメイドの女の子が、殺したいほど邪魔な人間がいるって、どういう事なんだろう。
あたしには訳の解らない事ばかりだ。まあ、メイドとは言っても訳ありの、戦えるスキル持ちだから、目障りなのかも知れないね。見た目がそっくりって言うのも、目障りな理由かな。
そう言えば、マリアが誘拐された件はどうなっているのだろう。考えてみたら、あれも可笑しな話だよね。あたしは単なるゲームのイベントだろうぐらいしか思っていなかったのだけれど。犯人は生け捕りにしたから、真相が分かっていても良いはずだけれど。全くその話を聞いた記憶が無い。
あたしの立場から為たら、そんなことを漏らす相手でもないのだろうけれど。一応命の恩人なのだから、知らせてくれても良かったような気がする。後でリントンさんに聞いてみよう。答えてくれるかは別だろうけれど、聞くだけならただだしね。
これって乙女ゲームのイベントとしては、危険なことじゃないかな。世界観もハードで、とても厳しめなイベント。陰謀劇を楽しむための、シビア謎解きゲームみたいだ。
さくらいろのきみに・・・のオープニングシーンからマリア・ド・デニム伯爵令嬢を、あたしが殺すシーンからだったから、普通の恋愛物では無かったのだけれど。色々と誰かの思惑が在るのね。あたしには解んないことだけれど。
読んでくれてありがとう。




