なんちゃって姫様は我慢できない 12
「ではマリア様は、どうなさりたいのですか」
ターラント男爵が、実に面倒そうにあたしに尋ねてくる。既にこの人は、あたしがナーラダのリコだって気付いているにも関わらず。マリアの対する様に話しかけてくる。リントンさんが、あたしの事を姫様扱いする物だから、話を合わせているみたい。
「どうって……。でも、拷問のような取り調べには反対したいわ。あんなに苦労をして、助けたのに事故死なんて救いが無いでは無いかしら」
「その様なことを言っていては、何故あそこで密漁を為ていたのか。吐かせる事が出来なければ、今後に影響が残ります。未だに他の二人も見つかっては居ないのですよ」
と、リントンさんが反対意見を言ってくる。何か大きな犯罪が後ろに隠れていると思って居るみたいだ。
ターラント男爵に言わせれば、単に密猟為ていた連中が、思いも掛けず小娘に出くわして、後先を考えないで攻撃をしてしまったのだろうと思っているみたい。あたし的にも、それで良いのだけれど。リントンさんはそんな事では納得がいかないみたいで、執拗に事件の真相の捜査を主張している。
そう言えば、リントンさんはたんなる執事では無く。ターラント男爵に黒い犬何て呼ばれる理由を持っているらしい。後で、父ちゃんに聞いてみようと思う。以前父ちゃんが、リントンさんの事をよく知っている様な事を言っていたっけ。
その辺りは不思議だったのだけれど、密猟は決して軽くは無い罪だ。でも、誰かを殺すよりは重くは無い。せいぜい張れても、ギルドからの追放程度で済む。モグリで狩りを続ける事だって出来るのだから。そう考えると、密猟三人組は何故あんな事をしたのか。その辺りは、あたしも知りたいところかも知れないな。
あたしが、デニム家の使用人だったから、口を塞ごうとしたのかも知れないのだけれど。同じ狩人仲間としては、思わず禁猟区に狩りに入ってしまう気持ちは解る。実際口頭注意ぐらいはしたかも知れないけれど、ギルドに言いつけたりはしなかったと思う。なんで矢を向けてきたのか。
何しろ、狩人にとって禁猟区の得物の豊富さは、魅力には違いないのだから。
「兎に角拷問は許しません。他の方法で、後残りの二人が隠れているところを吐かせて下さい。何故、内のメイドを射殺そうとしたのか。私も其れは知りたいですわね」
「しかし、尋問とは言っても限界がありますよ。時間が掛かるのです。ならば拷問の方が確かでは無いでしょうか」
リントンさんが、面白がっている様な表情をさせて言葉を続ける。さっきから、同じような言葉の遣り取りが続いている。あたしは拷問的な取り調べには反対しているのに、この貴族階級の男達は拷問的な取り調べをしたいらしいのだ。
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