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夜の散歩 8

読んでくれてありがとうございます。


 あたしら馬車一台と四騎の騎兵は、あまり整備されていないだらだら道を駆け下りていた。馬車の車輪は、今にも壊れそうなほど悲鳴を上げている。中に乗っている人間にとっては、とんだ災難だった。伯爵家の良い馬車とは言っても、今の時代の馬車には違いないので、決して乗り心地の良い物ではない。前世の車のクッションが、とても良い物だというのが、骨身にしみて判る。実際本当に骨に来るのだ。

「おしりが痛い」

「我慢してちょうだい」

 なぜか伯爵夫人が、あたしを抱きしめている。彼女の顔が、少し赤く色づいているのは、内緒である。男装して、皮鎧を着ているとは言っても、さわり心地は男よりずいぶん良い。それに、薔薇の香りも悪くなかった。

 なぜこんなに急いでいるかというと、伯爵夫人の言うことには、こちらのうごきが察知されて、先手を打たれたらしい。あの弓兵の持っていた樽には、良質の油が入っていた。火矢で、陽動のためにデニム家のお屋敷に火を付けようとしていた。あの程度の油で、動向なる物ではないが、こちらを混乱させることは出来る。

 その計画には、領都に火を掛けることが含まれていた。こちらのうごき次第で、打って出るか、逃げるかを決めることになっているらしい。

 其れは、デニム家の人間にとっては許せないことで。可能な限り、早く領都に到着したかったのである。貴族の義務として、民を守るのは当然のことだと思っている。あたしはちょっと見直した。ゲームの時の伯爵夫人とは趣が違う。まるで別人のように見える。なんか強そう。

 父ちゃんはあたしの隣で、ムスッとしてこちらを見てる。後で何か言われそうだな。

 ちなみに、さっき取り押さえた弓兵さんは、縛られて騎兵のオッちゃんの馬にくくりつけられている。今頃、地獄を見ているに違いない。不確定名どこかの国の間者なので、易しくあつかってくれることはない。あの場所に放り出されなかっただけ有難いと思ってほしい。そんなに危険な場所ではないが、前世の畑ほど安全でもない。たまに野犬がでたりもするのだ。

 伯爵夫人の言う鼠たちは、どうやら放火をして、逃げるか攻撃することにしたらしい。あまり旨いやり方とは思わないが、領民を混乱させることは出来る。色々と出来ることもあるのかも知れない。あたしには思いつくことはなかったけど、放火なんて許せることではなかった。

 まだ、嵐の名残に風は吹いているのだから、火事になればどれだけの被害が出るか判らない。たとえ命が助かっても、財産を失えば明日からの生活が立ち行かなくなる。

 ようやく領都の城壁が見えてきたとき、町中の一角から赤い炎が立ち上がるのが見えた。其れも、何カ所も燃え上がってきている。

「レムス、先に行きなさい」

 伯爵夫人は窓を開けて、ぜんぽうを走る騎兵に対して叫んだ。前の方を守るように走っていた騎兵の一人が、かけ声とともに急激に加速する。黒髪のハンサムの騎兵の方である。

 


 最も先に彼女の冒険を読んでる読者です。毎日楽しみに読んでいるのですが、使える時間が、1日に一時間くらいしかありません。一話が短くて残念です。

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