なんちゃって姫様は我慢できない 4
言い方がずるい。あたしのために動いてくれてた、古強者のお爺ちゃん達は勝手に遣った事で、デニム家には責任が無いみたいな言いぐさだ。そう言った決まり事が無く、個人の判断で出て来たのだから。万が一の時には、何の保証もしないと言っているのと同じだ。
「私もこの良い天気に、息抜きのために出て来たのですよ。それで良いと思います。何しろこれほど、貴方様が奥様に良く似ていらっしゃるのが知れて喜ばしく思って居ります」
癪に障る事に、リントンさんは良い笑顔をしている。どういう神経をしているのだろう。あたしはまじまじと顔を眺めてしまう。
今のリントンさんは、お屋敷に居るときの執事らしい笑顔では無く。凄味のある叔父さんの笑顔だ。出来れば、お近づきには成りたくない種類の人種に見えた。これが、ターラント男爵の言う、黒犬の本性なのかも知れない。
「今の処は、奥様の子供の言う事を聴く気はあるのね。なら、少しばかり文句を言わせて貰います」
メイドのナーラダのリコには、デニム家の使用人の殆ど頂点にいる、リントンさんに対して、文句を言った処で応えたりはしないだろうから。黙って帰るだけだけれど、どうやらあたしの事を奥様の子供として扱う事にして居るみたい。それなら、話が為やすいかも知れない。
「何故こんな事を遣らせたの。もしも、この騒動がもっと酷いことに成ったら如何するつもりで居たのかしら」
「……」
リントンさんが、あたしの瞳を覗き込みながら、何を考えているのか解らない様な、表情を浮かべている。
熟々怖い人だと、あたしは思う。何でこんな人が、御屋敷の執事を遣っているのかしら。奥様は、彼のことをどう思っているのか。本人に聞いてみたい気がする。
「ここで、そのような事をお話しするべきではありません。大夫お腹もすいているのではありませんか。宜しかったら、何処かお店で食事でもいかがでしょう」
物腰の柔らかい、リントンさんの誘いの言葉に、あたしのお腹が鳴った。気が付けば、既に正午を大夫過ぎてしまっている。その前に、引っ張り出してしまった、古強者のお爺ちゃん達に挨拶をしなければ行けない気がする。
「お腹はすいているけれど。決まりを付けなければ行けないから、一寸待っていてね」
あたしは、心の中でリントンさんに対して、文句を言ってやろうと決めて、集まってくれた古強者のお爺ちゃん達に小走りに走った。本当は、もっと早くお礼を言わなければ行けなかったのだ。だけれど流石に、生理現象だけは我慢できなかった。
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