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夜の散歩 7

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「俺の娘は、顔だけじゃなく中身も奥様によく似てるんだ。しかも、特別な視力を持ってる。まるで動物並みの視力だ。でなけりゃ、俺は弓をこの暗さの中で撃つことなんか出来なかったろうよ。ちなみに、このゆみも娘の発案で作った物なんだぜ」

 又、自慢が始まった。いつものことだけど、あたしは少し親ばかが過ぎると思う。この人が、あたしを使って、伯爵家に対して、産まれるはずだった子供の復讐を考えていたなんて、考えられないよね。

 ゲームの中で語られていたことによると、あたしとマリアが生まれるとき、父ちゃんの子供も生まれる時期だった。その時に、優秀な医者は全員伯爵夫人のお産につきっきりになってた。で、結局子供はなくなり。奥さんはその時のショックで、心を病んでしまったらしい。其れなのに、あたしを父ちゃんに捨てさせた。

 前世の記憶を取り戻した、あたしは頑張って、父ちゃんが悪い考えをしないように、色々と遣ったのです。母ちゃんは、あたしを自分が産んだ娘だと思い込むことで、心の平穏を取り戻したみたいだったけど、やはり産後の肥立ちが悪く、今は鬼籍に入っている。

「余計なことは良いから。今は相手に集中して。まだやる気みたいだから」

 積んでる状況だと思うけど、相手は未だになんとか出来ると考えて居るみたい。弓に矢を番えようとしてる。

「もう一発お見舞いしよう。今度は動けないから、どうとでも出来ると思う。悪いけどおじさま、剣を抜いて近づいてくれない。その際に、弓の射線は遮らないようにしてね」

 相手の意識をそらすために、騎兵のオッちゃんに陽動をお願いする。馬車を狙わせても良かったけど、戦うことがお仕事のオッちゃんの方が良いでしょう。

 後ろの馬車、の御者のランタンのシャッターが開けられた。あたりをランタンの明かりが照らし出す。

「承った」

 オッちゃんが、すらりと長剣を抜いた。突然走り出す。

 相手は、走ってこようとしているオッちゃんに意識を向けた。

「今度は、見えてるから皿に命中精度は上がるでしょう。弓を持ってる方を狙って」

 弦を弾く音がして、矢が放たれる。騎兵のオッちゃんを狙っていた、弓を持つ左腕を刺し貫いた。悲鳴とともに、あらぬ方向に矢が飛んで行く。

 騎兵のオッちゃんは、結構な手練れみたく、相手の射程ぎりぎりで足を止めた。そして、身を低くして回避行動をする。

 あたしは、ほっとしてため息をはいた。

 



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