なんちゃって姫様 4
「兎に角先ずは爺さん達を解散したらどうだ。御前がサーコートで出てこさせたのだろう……。ならば解散させることも出来るのでは無いかな」
あたしはとんでもない事を言われて、失礼かも知れないけれど、思わず顔をまじまじと眺めてしまった。
だいたいあたしには、予備兵に対して何も命令を出しては居ない。リントンさんに言われて、サーコートを纏っていただけだ。このお陰で、彼奴らの家族を回収に成功したのだけれど。それだけで、この騒ぎを音便に収拾させる方法を思いつかない。
平民の一メイドの言葉に為たがってくれるわけが無いのだから。確かにあたしは、マリアの姉妹だけれど。正式にはたんなる使用人の一人に違いなのだから。
本当に、リントンさんは何を考えているのだろう。真逆あたしの事を、デニム家の令嬢にするウルトラCでも考えているのだろうか。正式には死んでいるあたしが、デニム家の令嬢に成るなんて事があり得るわけが無い。そんなことが出来たら、さくらいろの君に・・・。復びって事になっちまう。其れは勘弁してほしいものだ。
「その前に自警団の連中を解散させてよ。そうしないと、他聞予備兵の人達は動いてくれないと思う」
折角犠牲者を一人も出すこと無く、何とかこの建物に逃げ込むことが出来たのに。先に予備兵の人達を解散させたら、自警団の連中が何を為てくるか判らない。そうなったら、怪我人が出るかも知れない。
半年しか住んでは居ないけれど、あたしのために酷い目に遭う人を出したくない。だって、自警団にも予備兵の中にも知り合いが居るかも知れないのだから。
正直逃げているときは、まるで前世の映画の中のような感じが為ていたのだけれど。こうして、落着いて改めて集まっている様子を見ると、怖くなってきた。
騒ぎを起こすのは簡単だけれど、其れを穏便に解決する事はとても難しい。なんの権力も無いあたしが、これだけの事を為ておいてしれっと逃げ出すわけにも行かないのだろう。前世だったら、捕まって少年院送りかな。
助けたかっただけなんだけれど。それに便乗して、あたしに何かを遣らせようとした、リントンさんが悪い。これって、リントンさんが責任取る物では無いのだろうか。だいたい、あの人がこんなサーコートなんか持ち出さなければ、こんな大事に成ったりしなかった。最も間に合わなかったかも知れ何のだけれど。
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