表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

489/1221

なんちゃって姫様

 狩猟ギルドの建物の周りには、不揃いな武具で身を固めた年寄りに囲まれている。その更に外周には、自警団の若い衆がまとまって此方を睨み付けているのが判る。連中は大きく思惑が外れて、祭りをすることが出来なくなった事に、ものすごく戸惑っても居るのだろう。

 あたしはギルド長の執務室の窓から、外の様子を眺めていた。真逆こんな大事になるとは想ってもいなかった。自警団に見つかる前に、三人組の家族を匿ってしまい。逃がしてしまおうと思っていただけなのだ。其れが、見ようによっては、内戦じみたことになろうとは思いもよらなかった。

 こんな事になった最大の要因は、あたしが纏っているサーコートなんだろうけれど。実際ここまで自警団の若い衆が、あたし達に手出しが出来なかったのは、古い武具を持ち出して出来てくれた年寄り達のお陰だった。出てきてくれた人たちの数は、そんなに多くは無かったけれど。自警団の若い衆よりは多かった。

 しかもあたしの言うことを良く聞いてくれて、若い衆とぶつからないように気を付けてくれた。それに皆、腕に自信のある人達ばかりだったらしく。どことなく凄味があるお年寄りだった。

 これは、ここまで一緒にいてくれた彫り物のお爺ちゃんが、教えてくれた事なのだけれど。今出てきてくれている人たちは、ずっと前にマルーン地方が、マルーン王国と呼ばれていた時に、義勇兵として戦地に向かった生き残りらしかった。

 その頃は、あたしより幼かった奥様に、率いられていたらしい。その時に、奥様が纏っていたのが、あたしが纏っているサーコートだそうだ。そして、このサーコートは義勇兵の招集を意味しているらしい。だから、今のあたしはマルーン王国の姫様なのだそうだ。

 姫が戦うのなら、予備兵の誓いを立てた者は共に戦うのだそうだ。其れが幾万の敵が居ようとも、姫が戦う意志を見せている限り。最後の一兵となっても、侵略者に対して、武器を振るう者なのだそうだ。

 完全に、リントンさんに填められた。とんでもない権力を、今のあたしは持っている。なんちゃってマリア処の騒ぎでは無い。ここに出てきている人たちの命を、あたしの一言で左右しかねない。そんな重たい裏設定なんか知らない。

「リコ、如何する詰りなんだ」

 あたしの背中越しに、ライナス・ターラント男爵が困惑した声を掛けてくる。大夫声音に余裕が無い。其れもそうだよね。

 あたしだって、如何した物か考えても解んないよ。十三歳の女の子でしか無いのだから。一応、奥様の実子らしいけれど。これまで、父ちゃんに育てられたお陰で、そこそこ戦ったりすることが出来る身ではあるのだけれど。兵士の指揮なんか執ったことなんか無い。





読んでくれてありがとう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ