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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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一寸した冒険 11

 密猟者達の住んでいる家は、長屋になっている賃貸住宅だ。いわゆるアパートなのだけれど、この辺りは地震があまりないので、日本の様に確りした構造を為ていない。掘っ立て小屋よりはましな態度の、木造平屋建ての代物だった。二階建に成っていないだけ、ましな方かも知れない。

 建物が平屋建てだったので、あたしは内心ホッとしていた。何しろ住所は解っていたとしても、どの部屋に住んでいるかまでは把握していなかったからである。此れなら、五部屋のうち三部屋だけに当たれば良いのだから、楽な物だ。最悪三階建の可能性もあったから、結構簡単に済むかも知れない。外から、大声で危険を知らせれば、済んでしまうかも知れないそれならその方が良いのだけれど、たぶんそうは問屋が卸さないだろうな。

 改めてアパートの方を見ると、一番東側の扉の前に、若い女の人がびくびくしながら、辺りを見張っている。そして、半ば開いている扉の向こうに、仰向けに倒れている男の人が見えた。それ以外は他に出歩いている人の気配は無い。未だ自警団は来ていないらしい。だからといって、安心して良いわけではないみたいである。

 倒れている人には、見覚えがあった。狩猟ギルドの職員さんだ。あたしのことを可愛いって言ってくれた男の人だ。確かあの人は、どちらかというと文官よりの人で、こういった事は苦手に為ていたはず。よりによって、只の事務員さんを寄越すなんて、頭膿んでいるのではないだろうか。それでも、受付のお姉さんを寄越さなかっただけましだけど。

 もしかすると、あの三人組は思っていたよりましな人間だったのかも知れない。少しだけ嬉しくなったけれど、それ以上に面倒なことに成った。思わず舌打ちしてしまう。勿論御嬢様なら、こんな場合でも舌打ちなんか為ないのだろうけれど、育ちはあまり良くないからね。

 女の人と目が合ってしまった。あたしも不用意に近付きすぎた。隠れる物なんか無かったし、此れは仕方がないことだと思う。黙っているように合図を送るけれど、彼女には通じなかったみたい。

「あんたヤバい」

 悲鳴のような声が、辺りに鳴り響く。此れってとってもヤバい状況じゃ無い。勘弁して欲しい。助けに来たのに。




読んでくれてありがとう。


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