一寸した冒険 5
あたしはさっきの、お爺ちゃん隊長が言った言葉や、リントンさんが言っていたことが気になりながらも
、領都の地図を思い浮かべていた。領都の道の造りは複雑に作られている。簡単に、大軍で攻めることが出来ないように為てあるのだ。
そう言えば、この領地は頻繁に隣の国から攻められていた。先代の領主の頃から、ずっと攻められていたのである。この国の防衛の要だと、賢者様が言っていた。
正攻法で攻めきれないから、マリアを誘拐してみたり。揺さぶりを掛けてきているらしい。父ちゃんがそんなことを言っていた記憶がある。今回のことのも、その一環じゃ無いよね。
あたしみたいな訳あり娘をどうにかしたって、なんの足しにもならないと思う。正式に認められた娘である、マリアならともかく。
三人組の住処は、西側の下町にあった。治安は決して良くは無いけれど。無法地帯というわけでも無い。たまにスリや追いはぎがでる程度だ。あたしにとっては、問題の無い場所だった。
勿論、こんな処に私設保育所が在ったとしても、決してリタを預けたりはしない場所かな。女の子が、一人で歩くところでは無いよね。
少し遠回りになるけれど、マーシャの私設保育所の前を通ることに為た。なんと言っても、リントンさん推奨のルートだ。なんか良いことがあるのかも知れない。
少なくともあの辺りは安全地帯だ。大通り除いて、最も治安の良い区画になる。あの辺りは、退役した兵隊さんや。隊長を務めている人が住んでいる。だから大変治安が良いらしい。
少し問題があるとすれば、あそこを通るとするとかなり遠回りになる。それでも、門の処で止められなかったから、リントンさんの言うことを利くことにする。狩りに行くときに、リントンさんの忠告を聞かなかったから、あんなことに成ったのかも知れない。何処かで情報を握っていたから、あたしに誰か連れて行けって言ったのかも知れない。知っていたのなら、ハッキリ言ってくれれば良かったのにとは思うけれどね。
リントンさんとしては、あたしに話しにくかったのかも知れないけれど。言ってくれていれば、あたしだって、あんな処に行ったりしなかった。
森は広いから、あんなにピンポイントで出くわすなんて思いもしないだろうけれど。彼奴らもあたしもとても運が悪かったって事かな。だからと言って、矢が刺さっていたら許せる物でも無いだろうけれどね。
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