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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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一寸した冒険 4

 馬に乗れば領都と御屋敷の距離は、大して時間は掛からない。オウルみたいに遅い馬でも変わらなかった。

 領都への門は、今は開かれている。領都を守る城壁の外にある畑での作業をする者が居るから。如何したって門を開けておかなければならない。門を開け放っている代わりに、門を守る兵隊さんが多く詰めている。流石にここでは馬を下りなければいけ無いだろう。

 あたしは門の前で、オウルに止まるように合図をする。領都のなかを速歩で走ることは禁じられている。何しろ歩いている人も多いし、荷馬車も多い。速歩より速く走らせる時は、緊急事態の時以外は行けないことだ。

 門番を為ている兵隊さんの中で、隊長を遣っているお爺ちゃんが、あたしの顔を覗き込んでくる。その表情は厳しい物になっている。普段は気の良いお爺ちゃんなのだけれど、今は怖い顔になっていた。

「姫様、何か問題でも御座いましたか」

「自警団の暴走が懸念されいる。此れから其れを止めに行くのよ」

「承りました。予備兵をお使いに成られるのですね。ではお気を付けて」

 とっさに言ったことに、お爺ちゃん隊長は他の兵隊さんに合図を送ると、最敬礼を為てくれる。他の兵隊さん達も、慌てて敬礼を為てくれる。思わずあたしも、敬礼で返す。何だか全然訳がわからない。やっぱりこのサーコートの所為なのかしら。まるであたしが緊急車両に乗ってるみたいな気がした。

 何処かで止められると、あたしは覚悟していたんだけれど。あっけなく領都に入ることが出来てしまった。まあ、早い分には問題ないかな。上手くすると、自警団の若い衆に遭わずに、三人組の家族を匿うことが出来るかも知れない。

 狩猟ギルドは、自警団に密猟者の家を教えないだろう。その分、自警団がおくれるから、十分余裕を持って匿うことが出来ると思う。逃がすことは、後になってから考えることにする。

 あたしは変な気分のまま、オウルに並足で進むように合図する。街の中に、入ると街行く人の中で、年寄り達が足を止めて、あたしの方を見詰めてくる。中には突然走り出して、他聞自分の家かな、飛び込んでいく人もいた。


読んでくれてありがとう


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