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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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一寸した冒険 3

 並足で進むオウルの背中は、快適だった。このデニム家の鞍は良く使い込まれていて、サイズもあたしの身体に合っている。詰り子供用の特注品だって事かな。

 馬屋から離れて、それほど経っていないので、御屋敷を守る城壁まではたどり着けてはいない。未だ御屋敷内なので、あまり速く走らせるわけにも行かないのだ。取りあえず城門をでるまでは、我慢してゆっくり走らせる。

 どのみち城門をでるときに止められる、その時にあまり可笑しな動きを為ていると、顔見知りとは言え止められてしまうかも知れない。何しろ、休んだばかりなのだから、今日も休みは通じないかも知れない。マリアの用事で出かけると、言い張るつもりだ。

 確りとした造りの城門が見えてきた。その城門の前には、二人の兵隊さんが鑓を手に立っている。二人とも気楽な感じで、雑談を為ている。何時もの光景だ。

 あたしに気が付いたのか、一人の兵隊さんが、隣の兵隊さんに声を掛けた。そうしたら、突然最敬礼してくれて、二人とも慌てて城門を開けてくれる。まるで、あたしが偉いさんになったみたいな感じである。違和感有まくりだ。

 真逆、このサーコートの所為。マリアだと思われているの。でも、マリアって馬には乗れなかったと思うのだけれど。ま、まあ此れは此れでラッキーな事だから、このまま押し通すことにする。

 あたしはマリア。あたしはマリア。

 城門をでると、景色がいきなり広がる。なだらかな下り坂の先には領都が見えている。馬を駆足させれば、其程時間の掛からない距離だ。

 あたしが振り返ると、あの門番さん達が敬礼をいて見送っていた。マリアのお出かけなら当然のことなのかな。

 兎に角急いで、あの三人組の、家に付かなければ、関係ない人がどうなるか解らない。此れはお節介なのかも知れないけれど、そういうの気分が悪いから助けないと。あたしが嫌だ。

 オウルに速歩をするように、足で合図を送る。オウルは素直に走る速度を上げ始まった。風があたしの頬を冷たく冷やしだした。今日が良い天気で良かった。



読んでくれてありがとう。

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