表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

452/1222

事態は深刻 7

 急いで暖炉の前の椅子に座って、深呼吸をすると返事を返す。あたしが側に居れば、あたしが扉を開けるのだけれど。今は一人だ。仕方がないので、自分で開けて貰うことにする。マリアなら、自分から扉を開けることはしないと言っていたからである。

 なるべく彼女らしく振る舞わなければ行けない。顔も髪型もそっくりなのだから、見分けが付かないはずだけれど。でなければ影武者なんて出来るはずも無いのだから。

 実は多少体型は違ってしまっているのだけれど、ドレスを着てしまえば見分けが付かないと思う。後は話し方や癖を真似れば、見分けが付かないはずだ。

 一呼吸の間があって、扉が開いた。ヘクター・リントンさんが、何時もの執事服をバッチリ決めて立っていた。軸に格好いい立ち姿と思う。

「お早う御座います、御嬢様」

 リントンさんが、あたしに対して丁寧なお辞儀を為てくれる。右足を下げて、右手を胸の辺りに当てている。その右手には、何枚かの紙が在った。因みにあたしは、こんなに丁寧な挨拶を受けたことは無かった。そりゃそうだ、今のあたしはマリアなんだから当然のことなんだろう。

「お早う。今日も良い朝ね。暖かくなってくれるともっと良いわね」

 普段のマリアのように、微笑んでみせる。因みに彼女は、あたしに対して、こう言った微笑みを見せてくれたことはない。確かリントンさんに対しては、何故か微笑んでみせるのだ。とう言うことなのか、後で聞いてみよう。

 因みに、ここでコーツイはしない。相手は年上の男性とは言え、ヘクター・リントンさんは使用人に過ぎないのだから。マリアならそう言ったことはしなかったと記憶している。

 内心はドキドキ物で、背中にはじんわりと冷や汗が流れてきていた。厚手のドレスで良かったなと、あたしは思う。なんとしてもだまし仰せなければ、密猟者達のことを知ることが出来ないのだから。

「昨日の、リコの一件について正確なことを知りたいとのことでしたが、どのようなことがお知りになりたいのですか」

「全てのことを知りたいと思うのです。貴方はその為に、早朝に出かけたのでしょう。あの子は私の妹なのでしょう。今の処は私のメイドでしか無いけれど、それでも心配してしまう物だとは思いませんか」

 なんとも言えない台詞をあたしは吐いた。なんか背中から、むずがゆい物が這い上がってくるような気がする。ここで耐え抜かなければ張れてしまう。頑張れあたし。耐えるんだあたし。


読んでくれてありがとう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ