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事態は深刻 4

「私たちにはそういった顕現はないのよ。今の貴方はこの御屋敷のメイドで、私だって娘だけれど何が出来るって言うわけでも無いの。この御屋敷の中だけなら、多少は我儘が言えるけれども。外に出たら、何も出来ないのよ」

 マリアが困ったときに見せる、指を頬に触れる癖を見せて言った。彼女の栗色の瞳が、何もしない方が良いと言っている。

「そんなこと知っているわよ。でもね。私は関係ない人まで酷い目に遭うのは嫌なのよ。だって、あたしを殺そうとたのは、密猟者であって、その家族ではないのよ」

「如何したいの。貴方には自警団の活動を止める力はないのよ」

「何とか逃がすことぐらいは出来るかも知れない。それくらいは私にも出来ると思うわ。兎に角協力して」

 少しの間、あたしとマリアはにらみ合った。彼女には御父様が帰ってきて喜んでいた時みたいな、ふわふわしたところがなくなって、奥様みたいな厳しい表情が浮かんでいる。もしかするとあたしも同じような顔を為ているのかも知れない。

「処で、貴方はその家族の住所は知っているの」

「知るわけないわよ」

「馬鹿なの。助けに行く相手がどこに居るか解らないのに、走り出すつもりなの」

「だから、貴方に協力してって言っているのよ。貴方なら、リントンさんから聞き出すことが出来るかも知れないでしょう。この御屋敷の中なら、貴方の我儘が通じるのではなくて」

「其れは無理ではないかしら。リントンは当家の使用人だけれど、御母様に雇われている人よ。私ではないのよ。それに、本当はあの人怖い人なのよ」

「知ってるわ。なら、ちょっとの間、貴方に化けるのを見逃してくれないかな」

 リントンさんから、街のことを聞き出す手を思いついた。無謀かも知れないけれど、何も遣んないで黙っていることなんか、今のあたしには出来ない。せめて彼奴らの家族の命だけでも、守ってやりたい。悪い奴らだとは思うけれど、家族は別だと思う。

「あたしじゃ。リントンさんから、事情を聞き出すことも出来ないだろう。でも、マリア・ド・デニム伯爵令嬢になら話してくれるかも知れないだろう」

 兎に角自警団より早く、あの三人組の家族の所へ行って逃がす。なんだったら、ナーラダ村に逃がしてやれば、少なくとも殺されることはないだろう。あそこの村の衆は、いい人達ばかりだから。きっと面どう見てくれる。






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