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事態は深刻 3

 マリアの部屋の綺麗に装飾された扉を開くと、彼女は暖炉の前で椅子に座って、暖をとりながら本を読んでいた。因みに、部屋着は先ほどあたしが手伝って着せた物だ。

 ちゃんと仕事はやっているのだ。給料分ぐらいはしておかないと行けないと思うしね。

「リコ。走ってきたわね」

「一寸急ぎの用事があってね。其れより頼みがあるんだ」

「叱られるわよ」

「いや、それどころじゃないんだよ。人の命が掛かってる」

「言葉遣い。良くないと思いますわよ」

 マリアが読んでいた本を閉じながら、あたしの方を見詰めてくる。顔には今、暇為ていますって書いてある。ちょうど良い案配に、話し相手がやって来たって感じである。

「昨日の事は知ってるよね。その事が自警団に知られちゃった」

「其れは良かったじゃない。きっちり仕返ししてくれるわよ。後言葉遣いは直しなさい。魔界の言葉ではないから、何とか理解できるけれど。そんな言葉遣いを知られたら、鞭で叩かれるわよ」

「其れは良くありません。他聞、密猟者は逃げ出しています。ギルドはその人たちだけを追ってくれるでしょうが、自警団はその人達の家族まで捕らえるのではないでしょうか。そしてどうなるかは解っています」

 今は、言葉遣いなんか気にしては居られない。あたしのために何人もが、関係ないのに、値割れのない罪を被せられるのは我慢できない。いけないことをしたのは、密猟を為ていた連中だけなのだ。その家族にはなんの罪もないと、あたしは思う。

 その人達を裁くのは、暴徒みたいな自警団では絶対にないと思う。前世のような裁判が、良いとも思わないけれど。少なくとも八つ当たりの対象に、為て良いとは思わない。

 犯罪を犯した者の家族が、裁かれて良いとは思わない。だからあたしは、ギルドの方に報告したのだから。ギルドなら、せいぜい彼奴らはここに住めなくなるだけだ。何処かにしばらく隠れていれば、なんの問題も無い。何しろあたしは何処も怪我していないのだから。

「ねぇ。私は関係ない人たちが、酷い目に遭うのは嫌なの。自警団の人たちを止められないかしら」

「其れって、お願いなのかしら。信じられないわね……。貴方は運が良かっただけで、殺されていたかも知れないのよ。最も貴方は魔物だから、そう簡単に殺されたりしないのでしょうけれど」

マリアは信じられない顔を為て、あたしを見詰める。少しはあたしのこと心配してくれているのか、一寸だけ心配そうでもある。

「ね。協力してくれないかしら」

 あたしはマリアに、ひざまずいて頭をたれて見せた。やっぱり関係の無い人まで巻き添えになるのは嫌なのだ。少なくとも、密猟者達の家族には、罪はないと思うし。このままだと、その家族までも酷い目に遭ってしまうかも知れない。其れは理不尽だと思う。








読んでくれてありがとう。


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