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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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メイドさん達の噂話

 あたしの休日にあった事件の噂は、メイドさん達の間で持ちきりになっていた。秘密に為てくれるように為てあったはずなのに、その概要はおおむね知れ渡ってしまった。

 小さくない出来事だったし、兵隊さん達からきっと知れ渡ってしまったのだろう。それにしても噂が広がるのが早い。此れって、執事のヘクター・リントンさん的には、あまり宜しくないことなのではないだろうか。

 いわば大冒険だし、面白いことなのかも知れない。その割に、あたしが何処も怪我していないから、楽しい話題なのだろう。

 あたしがメイド服に着替えると、皆面白いことが聞きたいのか、あたしにまとわりついてくる。此れって、サンドラさんに小突かれる案件なんじゃないのだろうか。

「ねえ、リコどんな密猟者だったの。その連中を貴方が捕まえたって聞いたけど本当」

 普段はあたしに話しかけてこないような、先輩メイドが興味津々といった顔で聞いてくる。確か彼女は、兵隊さんの恋人が居た。その割には、情報が間違っていた。

 因みに、彼女の手にはモップが握られているのだけれども、一切動いていなかった。

 今あたしは、噂好きなメイド軍団に取り巻かれていた。此れってサンドラさんに叱られる状況だと思う。せめて休憩時間に話すようなことだと思うのだけれど、彼女達は普段絶対聞くことのないような、わくわくする冒険話を聞きたがった。

「だから、リントン様がいらっしゃらないのね」

 普段からこの御屋敷の執事が留守に為ていることを知っていた。確か彼女は、年上好みのメイドだった気がする。何時もあの怖い執事さんのことが気になって仕方がないのである。

 因みにあたしは知っている。彼女が夜中に、皆が寝静まったのを確認すると、未だに起きて仕事を為ている執事室の前を、ウロウロしていることを……。実はヘクター・リントンさんをロックオンしているのだ。

 辞めておけば良いのにと、あたしは心の底から思うのだけれど。彼女は聞く耳を持っていなかった。まあ、若い頃はハンサムだったとは思うけれどね。



読んでくれてありがとう。

少し遅れました。

因みに、殺い番犬のお仕事は血なまぐさいから、どうしよう。


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