表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

434/1221

汚い大人 3

 ターラント男爵は、そんなことをうっかりと呟いて、慌ててこの部屋を見回し。誰も居ないことをちゃんと確認してから、深い溜息を漏らす。このような本音を、誰かに聞かれたら。立場が危うくなる。

 其程大きな影響力を持たない、長の部屋を盗聴するような者など考えられないことだから。心配要らないのだけれど、この本音が知られることは不味い。何より、この辺り一帯を支配しているアリス・ド・デニム伯爵夫人に知られたら、粛正されることはなくとも、決して愉快なことにはならないだろう。

 あの女傑は、決して侮ってはいけない相手なのである。その証拠に半年前の、粛正は見事なほど手際が良かった。絶えずちょっかいを出してくる隣国に対して、毅然とした態度をとることによって、隣国の軍事行動を押さえたのだから。

 彼女の娘を誘拐するような事件は、ターラント男爵の見立てでは陽動だったのだ。上手くはいかなかったが、中々痛いところを突いてきたと思う。

 なんと言っても、このマルーン地方は、アリス・ド・デニム伯爵夫人の手腕によって、守られていたのだから。中には、この国の王は女のスカートに隠れて政をしていると、揶揄する者も居る。勿論そんな噂を流している者は、隣国の者に心を売った者なのは明らかだ。

 隣国から見たら、マルーン地方を統べるアリス・ド・デニム伯爵夫人は邪魔で仕方がない障害物となっている。マルーン地方は何よりこの国で、最も平坦で、行軍に適した場所なのだから。

 実際、隣国は伯爵夫人の指揮で、散々に打ちのめされていた。他の者では、これほど手強い軍を編成できないだろう。何しろ、彼女が一声掛ければ、戦うことの出来る平民が、こぞって剣を取り立ち上がる。

 その上占領したと思った足下で、平民達が遊撃戦を繰り返すのだから。それだけでも、侵略者にとっては痛手なのに。デニム家の保有する私兵団は、地の利のあるマルーン地方においては鬼神のように手強かった。


読んでくれてありがとう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ