そして次の日 8
「たぶん。あれはたんなる事故だと思うんだ。だから、彼奴らは、飛ぶのに問題が無けりゃ。何処かに逃げ出していると思うね。二度と遭うことは無いだろうさ。彼奴らこそ災難だったと思うよ」
内心あたしは、彼奴らに同情している。法律を破っているとは言え、其れは貴族が勝手に決めたことで、あたし的には、あんまり悪いことを為ているとは思えないのだ。
まあ、あたしを殺そうとしたわけで、他の奴だったら殺されていたかも知れないのだから、許そうとは思わないけれど。目の前に現れないのなら、わざわざ殺しに行く気も無い。猟師ギルドがその当たりよく遣ってくれるだろう。あのギルドなら、財産没収の上この街に居られないぐらいで済ますんじゃ無いかな。
あたしもその程度が妥当だと思うのだ。どちらかというと、彼奴らの方こそ災難だったわけだし。暫くは仕事も真面には出来ないだろうから、罰は其れで十分だと思うのだ。
因みにあたしは、自分の身を守っただけだから、文句を言われるいわれはないと思っている。
「貴方がそれで良いなら、私には何か言うことは無いわね。出もね、あんまり危険なことはしないでちょうだい」
と、マリアが言った。
「私だって、あんな目には遭いたくないな。何しろ普段の三倍は走らされたからね。やっぱり平和が一番だよ」
一寸だけわくわくしたことは内緒だ。相手が見えていて、其れなりに距離があったから、矢が当たる可能性は大変低かったけれど。万が一当たれば終わりって言うのは、精神的にきつい物がある。
今度から、狩りに出かけるときには、死なない程度の毒を持っていくことにする。今回はあまり凶悪な連中では無かったから、不意を打たれなかった。だから、こうしてマリアと笑っていられるのである。
それに、最初から殺すきがあったわけでも無かったみたいだし、結果的に殺しに掛かる褒めになってしまったけれど。貴族の管理している場所へ、追い込もうとしていた気がするのだ。もしかすると、手を汚さずに目撃者をどうにかする事を考えていたのかも知れない。
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