そして次の日 6
明けましておめでとう。
早速、あたし達は城壁の端に着いた。それから、何時ものように壁を右手に見ながら、あたしは軽く身体を慣らすように足を動かす。やっぱり昨日は無理していたらしく、全身の筋肉が痛い。クールダウン為なかったから、乳酸が未だ残っているのだ。
因みにマリアは、小隊の前をかなり無理して、走っていた。野郎どもの嫌らしい視線に、全く気付いていない。意地っ張りもいい加減に為ておいた方が良いと思うけれど、明日痛い思いするのは、彼女なのだから、まあ良いけどね。
「御嬢様は少し走る速さを、調節なさった方が良いですよ」
あたしは少し走る速度を上げて、マリアに追い着くと助言して上げる。そして、後ろから嫌らしい視線を向けてくる、男どもをねめつける。側にマリアがいなければ、後ろから蹴り上げているところだ。
「餓鬼の尻を見て楽しいのかい」
「そりゃ。でっかい野郎の尻を見ているよりは、可愛い女の子の尻は見応えがありますから」
実に本音の台詞だと思う。其れをマリアが知ったら、どんな顔をするだろうか。知らなければ、そんなこと解ったりしないのだけれど。何しろ彼女は、深窓の御嬢様なのだから。
あたしなんかは、このての男どもの表情なんか、見慣れているから解るだけなんだけどね。
マリアは後ろを走る、野郎のことなど頭に無いみたいである。走ることに必死すぎるから、他のことは視界に入っていないのだろう。
「奥様に知られたら、殴られるよ」
「なあに、御嬢が黙っていてくれれば、ばれないですよ。元論ばらしたりしませんよね」
後ろから、あたしらの話に割り込んできた、レイが言ってきた。此奴は元王子様なのに、完全に野郎どもと同じ感覚になってしまっている。隠れ攻略キャラ、悲劇の王子様枠は何処に行ってしまったんだ。朱に交われば赤くなるてのは本当のことだったんだ。
昨日は格好良かったから、一寸見直したんだけれど。今日は駄目な人に成っちまってる。王族だったことがばれると、困った事になるから、此れで良いのかも知れない。
読んでくれてありがとう。




