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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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そして次の日 5

色々ありましたが、何とか大晦日になりました。また明日もアップいたしますので、読んで遣ってください。


「あたしらはあんたらの娯楽のために走るんじゃ無いよ。御嬢様は、鍛錬を始めたばかりだから、あんまり長距離を走れないんだよ。それに、本当にしんどいんだって」

「ねえ。リコ、そんなに私は弱くないわよ。貴方と同じには走れないけれど。少しなら、この兵隊さん達と走っても良いかもしれないわ」

 マリアは頬を膨らませて、あたしに言った。弱いなんて言ったから、気に入らなかったのかも知れないけれど、後で後悔することになると思う。

「やめておいた方が良いと思うのだけれど」

 あたしは一応止めてみるけれど、マリアは聞く耳を持っていなかった。最近走り方を憶えたばかりの、彼女には未だしんどい距離だと思う。

「話がわかる御嬢様だね。なあに、俺達も気を遣うからさ」

 ジャックの奴が、何時もの掛け声を上げる。この辺りは手慣れた者だ。あたしが前世で見た映画の、軍隊のトレーニングシーンで聞いた掛け声である。詰りあたしが、父ちゃんに話したら、まんま小隊の連中が、その掛け声を出すようになっちまった。

 その掛け声に合わせて、小隊の連中がリズミカルに足を運ぶ。小隊の連中は、なんだかんだ言っても良い感じに動けるらしいから、あの掛け声にも、何か理由があるのだろう。そうやって走っている姿は、結構綺麗に見える。何しろ初めて五ヶ月あまり経っているから、その動きがシンクロしていて格好良かった。

 でもって、困った事に、この掛け声を他の小隊の連中も、真似し始めたのである。最もこうやってシンクロした動きが出来れば、一斉に弓を撃つのにも、役に立つかも知れないから、良いのかもね。

 マリアが、この小隊の掛け声に合わせて、走り出した。多少は気を遣って、走る速度を落としては居るけれど。普段から、鍛錬を欠かさない玄人の兵士に、ついて行くのは難しいと思うのだけれど。未だ彼女は自分の体力を理解していないのだろう。

 良いけどね。あたしは今の状態のことを考えて、軽くならすつもりでついて行くことに為た。

 後ろから、奴らを観察していると、間違いなく不敬無し戦をマリアに向けているのが解る。



読んでくれてありがとう。


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