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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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そして次の日 3

「だって、大変だったのよ。とっても細かいところまで、話さなければ行けなかったし」

 最近のあたしは、マリアと二人だけの時に、あまり敬語を使わなくなっている。事実上の姉妹だし、あまり距離を置くこともないかと思ってね。勿論、他の人が居るときにはちゃんとした、言葉遣いをするようにはしている。叱られたくは無いしね。

「そうじゃ無くて、危なく殺されそうになったって聴いているわ。そちらの方が大変なことでしょう」

 マリアの部屋から出て、使用人用の出入り口の方に向かいながら、彼女が頬を膨らまして言ってきた。その口調は、少しきつい感じがする。

「奴らの方が大変なことに成ったからね。あれで、私が被害者面したら、奴らは泣くしかないだろう」

「要するに返り討ちにしたから、気にもならないって事なのね。そう言えば、貴方は魔物だったわね。心配した私は馬鹿みたいね」

 マリアは、何時もより大きく笑いながら、あたしの背中を叩いた。一寸何時ものマリアらしくない態度に、あたしは彼女の顔を二度見してしまう。

「本当に心配したのよ。貴方が帰ってこなかったら、と思って。無事に帰ってきてくれて良かったわ」

 どうやら彼女は、本当に心配してくれていたらしい。あたしは、何だか悪いことを為たかなと思ってしまった。悪いことを為たのは、彼奴らなんだけれどね。

 あたしもこう見えて、狩人だから、密猟してしまう人間の気持ちも解る。平民に解放されている狩猟場所は、貴族の狩猟場所と比べて、獲物の絶対数が少ない。うっかりすると、獲物は貴族の狩猟場所に逃げ込んでしまう。そうなれば、諦めなければいけないのだ。

 つい追いかけている内に、貴族の管理している場所に入ってしまうことだってある。本当は、そういった事が無いようにするべきだとは思う。でも、如何したって起こってしまう。

 狩りで生業を為ている人間なら、獲物の数が多いところに入りたいのは人情だと思う。

 でも、貴族の権力は其れを許さない。その最大の理由が、自分達の娯楽の為なのだから、狩人にはたまらない。そういった小さな不満が、密猟する人間を作り出す。

「お早う御座います。御嬢とマリア様」

 使用人用の出入り口を出ると、野郎どもの声が掛けられた。その数は十人分。父ちゃんの小隊の連中である。全員皮鎧に、兜を被って一列になって待っていた。昨日と唯一違うのは、武器の類いを一切持っていなかった事かな。






読んでくれてありがとう。


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