そして次の日 2
朝早く起き出すと、鍛錬用の服に着替えて、鍛錬場を一周する。此れが結構時間が掛かる。あたし一人だったら、大して掛かりはしないのだけれど。今でも、マリアが一周する間に、あたしは三周くらい済ませている。
今日は昨日の疲れが残っているので、ゆっくりマリアの速さに合わせて一周で済ませようと思っている。流石のあたしも、昨日は疲れた。
意外にメイドの仕事もハードだったりするから、ちゃんと寝ていない状態だと、一日持たないかも知れないからね。やっぱりサンドラさんの長いお説教はノーサンキュウだもの。
今日のマリアの鍛錬用の服は、何故かあたしとおそろいだ。仕立ての良さは、間違いなく良い物だけど。デザインは全く同じ物になっている。いわゆる作業着擬きである。
貴族の御令嬢が着るには、少々問題がある気がするのだけれど。何故か奥様も賛成して、用意してくれた物である。因みに、あたしの服は自分で縫った物だ。
何しろちっちゃい時から、家族の服を縫っていたので、今のあたしは裁縫が出来る。前世じゃ考えられないのだけれど、今のあたしはとてつもなく女子力が高いのである。今、あっちに転生したら、モテモテじゃ無いかな。
因みに裁縫の技能は、近所のおばさんに寄って集って、仕込まれた技能である。只、服のデザインに関しては、前世の記憶の中に合ったデザインを丸ぱくりした。一寸残念なのは、生地に当時のような伸縮性が期待できないことくらいかな。誰か前世持ちの人、開発して売り出しておくれ。
あたしがそう言う物を作れれば、良いのだろうけれど。其れは無理。学校も真面に通わなかった、あたしがそんなこと出来るわけ無い。普通に喧嘩が強いとか、元陸上の選手だったから走り方を知っているくらいかな。
「はい、御嬢様。お着替えが済みました。今日の日課に参りましょう」
「本当に、貴方は強いわよね。昨日は大変だったのでしょう」
「確かに大変でしたね。流石のあたしも、ヘクター・リントンさんの取り調べは応えました。だから、今日は一周で済ませようと思っています」
「大変だったのはそっち」
と、言ってマリアが笑った。
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