表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

413/1221

良く似た娘。 2

 屋敷の庭先まで来た、ハーケン小隊はまるでお姫様を護衛する騎士のように、隊列を整えて下馬する。まあ、奴らは馬にも乗れる兵士でしか無いのだけれど。それでも、ヘクター・リントンには懐かしい光景に見えた。

 今では、奥様が少数の手勢を引き連れて、支配地域で起こった揉め事を、平らげに行っていたことを知るものは少ない。そのたびに、先代様に叱られていたことも。

 アリス・ド・デニム伯爵令嬢という御方は、とんでもないじゃじゃ馬だったのである。だから、民衆に敬愛されている。そして、女傑だとか虎とか噂されているのだ。

 其れも国を守る要となる支配地域を任されている、貴族と為ては手強いと思われていた方が都合が良かった。実際の彼女を、知っている者にとっては、異議を唱えたい物ではあるのだけれど。

 馬番が走り寄ってくるのが見えたところで、ヘクターは歩みを進めた。自分の執務室に居たのでは、報告を聞くのが遅れるだろう。もしかすると、真面な報告が上がってこないかも知れない。

 間者から報告があるとは言っても、其れは間者の観察による物で、実際に起こった事件に対して、その場に居た者で無ければ、知り得ないこともある。

 記憶が新しい内に、ナーラダのリコから報告を受けたいと思うのだ。たんなる不幸な事件なら良いのだけれど。彼女が、デニムの娘だと知った者の企みならば、ほっては措けないことである。

 全く旦那様には、困った物だと思う。あの御仁は、デニム家がどのような立場に立たされているのか、理解していないのだ。

 マリア様が誘拐された時も、本当に肝を冷やされた。其れが、失っていた子供を見付けることが出来て。奥様は、心の痛みが癒やされているのである。其れを失わせるわけにはいかない。

 今となっては、マリア様もナーラダのリコも、アリス・ド・デニム伯爵夫人にとって、大事な宝物なのだから。

 ヘクター・リントンは、マリア様を誘拐されて、半狂乱になってしまった、奥様の姿をもう二度と見たくは無かった。



読んでくれてありがとう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ