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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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お土産はウサギ肉 19

 いつの間にか、執事のクリスさんがレイとターラント男爵の間に入って、レイから男爵を守っている。大した忠誠心だと思う。あたしにはこの真似は出来ないかな。身を挺して守るって言うのは、言葉では良く聞くけれど。そんなに出来ることでは無い。

 あたしだったら、守る前に攻撃してしまう。だって痛い思いはしたくないしね。

「いきなり怒り出さないでくれるか。私は事情を未だ聞いていないのだよ」

「なら、聴きもしないであの言い方は無いだろう」

「ルイス女史に説明したのだけれど。デニム伯爵家の管理している狩猟場の側で、三人の猟師に襲われたんだ。状況から言って、彼奴らは密猟者だと思う」

 あたしは事実だけを出来るだけ、簡潔に言葉にする。本当なら、あたしも怒り出したいところだけれど、レイの奴に先に怒鳴り出されたんで、何だか毒気が抜けてしまった。

「奴らのおかげで、あたしの今日の獲物は兎1匹だった。本当なら、もう少し獲物を持ってこれたはずなんだ」

「その獲物は、今は持っていないようだけれど。その獲物は解放されているところで取った物だろうね」

 ターラント男爵は、馬鹿に為たように笑った。

「あたしはそんなことを為ないのは解っているよね」

「皆様、お茶を入れました。宜しかったら一息入れたら宜しいかと思いますが」

 クリスさんが、あたしの言葉を止めるように割って入ってきた。本当にすんません。色々と気を遣っていただいておりがとう。

「で、相手は解っているのですか」

「一応、三人が呼び合っていた名前は解っているけれど。顔は見覚えが無いかも知れないね。だから、ギルドで調べて貰いたいと思ってね。今は父ちゃんが居ないから、今のうちに見付けて」

 あたしは、ターラント男爵の顔を眺めながら話し出す。彼の表情は、本当に困った顔を為ている。きっと此れからの面倒な処理のことを考えているのだろう。

 とは言っても、彼奴らはもう逃げ出してしまっているだろう。彼奴らは、あたしのことを知っていたみたいだから、父ちゃんの危なさを解っているだろうし。




読んでくれてありがとう。


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