お土産はウサギ肉 15
あたしは誠心誠意、相手に謝って見せて、父ちゃんに反省してくれるようにお願いした。それ以来、そんなことを為たところを見たら、殴るだけに為てくれている。其れも不味いとは思うのだけれど、関節を決めたまま、投げるよりは未だ穏便だと思う。
ギルドの組合員の中には、あれ以来あたしのお尻に触る不埒物は現れなくなってるけどね。でも、十二歳の子供のお尻を触って、何が面白いんだろう。あたしは触られるのが嫌って訳でも無いし。前世じゃ男を知らなかったわけでも無いしね。勿論今世は乙女だから、全く恥ずかしくないわけでも無いからね。
今回に事が、父ちゃんに知られたら、あの三人組は間違いなく酷い目にあると思う。骨を折られるだけで済めば、幸運なんじゃ無かろうか。最悪、森の中で獣の餌になる運命が待っている。だって、お尻触っただけで、ての骨折られちゃうんだよ。
ギルドか自警団で、けりを付けて貰った方が、あたしは助かる。彼奴らが、父ちゃんに捕まったら、其れこそ大変なことに成る。何しろ、素手で人をひねり殺すことの出来る危ない人だから。兵隊としては優秀なんだろうけれど、そんなことになったら、あたしが困ってしまう。
最も奴らは、既に飛んでしまっていると思う。でなきゃ馬鹿だ。
「御嬢。ルイス女史が呼んでいるよ」
ボーッとして考え事を為ていた、レイがあたしを軽く小突く。何回か声を掛けられていたみたい。
「御免。考えごとしてた」
「そりゃあんな事が遭ったんだから、少しぐらい可笑しくも成るよね。御嬢だって、女の子なんだし。少し休んでから、にするかい。おおむねのことは、僕が話しておこうか」
らしくないことに、レイがあたしのことを気遣って言ってくれた。此れが何時もだったら、あたしも少しは好きになるのかも知れない。こんな時は、王子様みたいに見える。実際元王子様なんだけれどね。
「良いわ。やっぱりあたしが木賃と話しておかないと、後で困ることになりそうだし。兎肉を持って行って貰ったジャックにも悪いしね」
あたしはそう言うと、階段の処で待っていてくれているルイス女史に、頭を下げた。
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