表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

382/1221

お土産はウサギ肉 13

「今日は如何しました。見たところ獲物は無かったみたいね」

 綺麗な制服を着た彼女は、ポーリーナ・ルイス女史だったと思う。確か男爵家の四女だったはずで、二十歳にも成って、未だに独身を貫いている。この世界的には、行遅れになるのかも知れない。でも、いい人だと言うことは知っている。

 あたしみたいな、子供に対してもまともに対応してくれる。其れが仕事だから、当然の事ではあるのだけれど。中には馬鹿に為てくる人も居るのだ。

「一応兎は捕れたんだけど、邪魔が入ったんで、それ以上取れなかったんだ」

「御嬢は密猟者に、襲われたんですよ」

 直ぐ後ろにいた、レイが少し声を潜めて囁くように言う。他の猟師に声が聞こえないように、配慮している積リなんだろうけれど。其れはあまり意味が無い。今ここに居る連中は、本職の狩人何で、多少声を潜めただけでは聞き逃すことは無い。何しろ、小さな音を聞き逃すことで、命を落としかねない商売なのだから。

 周りに居た連中の話し声が途絶えた。ピンと張り詰めた空気に、迂闊にそれを言ってしまった、レイが驚いたような顔を為て、あたしに助けを求めてくる。

 あたしは、軽くレイの胸に肘を当てる。勿論其処には、支給品の皮鎧があるから、それほど痛くは無いのに、レイは大げさに痛がった。少し失礼だと思う。

「少し勘違いが過ぎるわよ。こんな可愛いあたしが、襲われて無事で居られるわけ無いわよ。大げさなんだから。からかわれただけよ」

 張り詰めた空気が、また元のように緩んだ。小さな女の子が猟を為ていれば、中にはからかってくる奴も居る。その話だとあたしは言ったのだ。

 何しろギルドとしても、密猟というのはかなり面倒なことなのだから、あまり噂になることは避けたいはずで。まして、同じギルドの会員を殺そうとしたら、とんでもない重い話になってしまう。

「一寸待っていてくださいね」

 ルイス女史は、硬い表情でそう言った。流石にベテラン受付嬢。その声だけは平静を装っている。少なくとも、彼女の顔を見詰めていなければ、尋常なことが起きていることに、気付かないだろう。

「御嬢。すんません」

 レイが、あたしに謝ってくる。そう言う態度も、出来れば後にして欲しいのだけれど。いったい、王族としての教育ってどうなっちゃっているんだろう。

 第三王子だったから、其処の処は緩かったのかも知れないおけれど。そんなだから、隣の大国に踏みつぶされてしまうんだ。




読んでくれてありがとう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ