お土産はウサギ肉 10
領都の中に入って、直ぐ左の道をしばらく行ったところが、猟師ギルドの建物がある。このギルドでは領都に住んでいて、狩猟を生業に為ている人間を管理している。勝手に狩りを為れると、大きないざこざの元になる。そういった事の無いように、木賃と決まりを守らせるのがギルドの役割だ。
だからといって、お役所のような処ばかりでは無く。捕ってきた獲物を、信用の出来る業者に売り払う仲介もしてくれている。そういった信頼在ってこそ、ギルドに籍を置く者がいる理由だ。
ギルドの全てが、文字を読めないような人間でも、騙されないで商いをすることが、出来るように為てくれている。ギルドの会員は、ギルドが定めた決まり事を守ることによって、身の安全と権利を守ることが出来ていた。
因みに、貴族階級の狩猟場で狩りをすることは、大変不味いことに成る。此れは、ギルドの構成員が其れを遣っていたなら、ギルドは猟師としての権利を剥奪して、猟師ギルドから追放されることになる。
其れは、猟師として大変不味いことに成る。買った獲物を金に換えるにしても、自力で買ってくれる人間を探さなければならないのである。自分で食べる分には、なんの問題も無いかも知れないけれど。それだけでは人間生きていけないから、滅多なことでは密漁はしないはずなのである。よほど金が入り用だったか、御領主様に対して含むことがあるのかだろう。
勿論猟師を遣っている者から見たら、貴族の管理している山は獲物が多くて魅力的に見える。其れを、権力者の物としてしまっているので。不満を持つ者も居るけれど、おおむね上手くやっていると、あたしは聞いていた。
其れが密漁を遣っていて、目撃者を消そうとするなんて、考えられないことだと思う。あたし的には、怒っても良いとは思うけれど、何だかそんな気になれないでいるのよね。一応傷つけても居るし。
あたし達三人は、猟師ギルドの前に来ると、乗っていた馬から下りた。ギルドの前には、馬を留める為の綱木が用意されている。それに各々が乗ってきた馬を繋ぐ。
「さて、如何する。御嬢は当事者だから、ギルドで説明しなきゃ成らないだろう。その間に、俺がリタちゃんにウサギ肉と、養育費を持って行ってやろうか」
ヤンキー顔に為ては、まっとうな提案を為てきた。単にギルドみたいな処に入りたくないのは、見え見えだったけれど。あたしには有難かった。
どれくらい時間を取られるか解らないから、本当に助かる。
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