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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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お土産はウサギ肉

 リタにとっては、村の男衆が金の代わりに持ってくるお土産で、ただで貰っていると思っている。少しばかりの間だけ、黙って足を広げていれば良い。それだけで、美味しいお肉や野菜が手に入る。未だに彼女はそう言う物だと思っているのだ。

 女であると言うこと以外に、取り柄のないものは其れを切り売りするしか無い。其れがキャサリンみたいに、助けてくれる者が居なければ、如何することも出来ないのだ。

 キャサリンは、村の中ではよそ者で、村に貢献できる物を持っていなかった。だから、夫を亡くしてしまえば身を売るしか無かったらしい。其れを見続けたリタは、そう言う物だと思ってしまうことは、仕方が無いことなのだろう。

 でも、あたしには其れを当然のことだとは思いたくなかった。だから、彼女を引き取ったのである。皆にはえらく反対されたけれど。結局お金だけ出して、マーシャおばさんの所に預けっぱなしにしている。

 それでも、月に一度の休日にはお土産を持って顔を出したいと思う。せめてそれくらいしたいじゃ無い、あの碌でなしの男が命がけで守った子なんだし。

 そんなことを考えながら、森の中を進んで行くと。オウルをつないでいたところが見えてきた。其処には、三頭の馬と皮鎧に身を包んだ二人の男達が立っていた。

 あたしは足を止めて身を潜める。態を見る限りは、兵隊さんの其れだった。ヘルメットは着けていないので、金髪と短い黒髪の二人組なのが解る。だいぶ待っていたのか、だらだらしている。

「御嬢は何やってるんだろうな。獲物取れたのかな」

「こんな時間まで、猟を遣っているって事は丸坊主なんじゃ無いか。あんまり遅いから迎えに着なきゃ成らなかったじゃ無いか。何か奢って貰わなきゃ遭わないな」

 ゲームの攻略対象のレイとヤンキー顔のジャックだった。どうやら誰かが心配して、彼らを寄越したのだろう。普段なら、そんなの心配要らないというのだけれど。今回ばかりは助かった。

 少なくとも、彼奴らがあそこに居れば、あの三人組は、オウルの側に来なかったろう。オウルは安全に待つことが出来る。

 あの二人はこの長い時間を、退屈しながら待っていたのなら、悪いことしたなとは思う。だからといって奢ってやる必要は無い。だって、此れも彼奴らにとっては飯の種なのだから。

 

 


読んでくれてありがとう。


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