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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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散々な休日 10

 下草に隠れるようにして、あたしは進む。あまり背が高くないあたしは、それほど姿勢を下げなくても隠れることが出来るので、楽ちんである。それでも森の中の下草は、結構繁茂していて歩きにくい。

 だからといって、オウルが居るところまで道を通るのは危険な気がするのだ。なんと言っても道を使うと言うことは、相手に丸見えになってしまう。お互いに弓を使う以上、道を歩くって言うことは標的にしてくださいと言っている様な物だ。

 何処かの兵隊さんみたいに、ほふく前進まではやりたくない。あれだとオウルの所まで行くのに、偉い時間が掛かってしまう。あたしゃ戦争しているわけじゃ無いのだから。そこまでしなくても大丈夫。

 午後からは、リタを預かってくれているマーシャおばさんの所に行かなければならない。彼女に今月の養育費を渡さなければならないのだから。そうしないと、リタの立場が厳しくなるかも知れない。なんと言っても、マーシャは、生きるための生業として、子供の面倒を見て居るのだから。

 だいたいあたしがウサギ取りに出てきたのも、少しでも彼女に旨い物を喰わせてやりたかったからである。街の中に住んでいて、それないリに裕福で無いと、新鮮な肉は手に入れることが出来ない。一般人が手に入れることのの出来る肉の類いは、殆どが干し肉の類いになってしまう。新鮮な肉が出るときなんかは、領都の外で飼っている家畜を潰した時ぐらいしか無いから。そうなると如何しても、日持ちが良い物に加工してしまうのだ。

 此れが、貴族階級だと自分の所で飼っている家畜も居るし、管理している狩猟場所が有るから、新鮮で旨い肉を手に入れることが出来る。何よりそういった物は、平民の口には入らないのが当たり前なのだ。

 ただ、ナーラダ村に住んでいたリタは、キャサリンが村で猟をしていた男達から、良い肉を貰っていたため、旨い肉の味を知っていたのである。

 そのあたりは、あたしも知っているのだけれど。あたしは自分で捕ってきた獲物の味だから、そのあたりは意味合いが違う。彼女が考えるような、簡単な物では無いのだ。何とかして、リタにはその事を教えなければいけないとは思うのだけれど。どう言ったら良いか解んないんだよね。


 

 


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