散々な休日 7
彼奴らのせいで、森の奥まで来てしまった。おかげで現在位置が今一解らない。正直困った。
狩人であるあたしだけど、領都の側で狩りをするように成ったのは、デニム家に雇われてからなので、地図が完全に頭に入っていないのだ。一応此れでも、方向感覚は木賃としているから、迷うことは無いだろうけれど。
簡単にオウルの元に帰ることが出来ないだろう。厄介なことに、密猟者三人組から逃げているから、真っ直ぐ元のところに出るわけにも行かないし。嫌になっちゃう。
其れとオウルのことが心配だ。何しろ馬は、この世界では高価な動物で、新たに買うとなると、あたしの稼ぎでは厳しい。流石に父ちゃんは、オウルのことを弁償しろとは言わないだろうけれど。それでも、彼奴らに奪われるのは気に入らないからね。
そんなことを心配していたら、後腐れ無くやってしまえば良かったのに、何て悪いあたしが顔を出す。人の命の値段が結句安けれど。平和な日本に住んでいた、あたしには人殺しってのはハードルが高いよ。
もちろんのこと、この世界にある宗教には、人を殺すことは良くないことだという教えがある。そのあたりは、前世の其れと変わらない。でも、神の名において、他者を討ち滅ぼすこともあるからね。いわゆる聖戦って奴。
そんな倫理観で無くても、人を傷つけるのは気分が悪いことだから。なるべくは遣りたくはないよね。未だにあたしの気持ちはモヤモヤして仕方が無い。
折角楽しみにしていた、休日を如何してくれるんだ。オウルの元へ戻るのに、どれだけの時間が掛かるのか解らない。
あたしは遭難してしまう心配はしていない。だいたいの方角はわかっているから、大型の獣にでも遭遇しなければ、昼までにはオウルの所へ行けるだろう。
午後から、リタの所へ行ってやらないとだし。彼奴らのことをギルドへ報告しなければ行けない。そうすることが、ギルド会員の義務だしね。それに、法律を犯していることは明らかだから、そのあたりはやっておかないと、あたしの立場が悪くなっちまう。
もっとも、あたしを逃がした時点で、彼奴らは飛ぶだろうけどね。のこのこと自分の家に帰ったりはしないだろう。其処まで馬鹿じゃ無いよね。
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