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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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散々な休日 6

 兎に角あたしは逃げ出すことにした。逃げ出すのは今がチャンスだから。だからといって、後ろを向いて走り出すわけにも行かない。後ろを向いた瞬間、矢で射貫かれたくは無いし。

 此れは、熊に出くわしたときと同じように、ゆっくり後退しながら木に隠れる。その間、あたしは短弓に矢を番えたまま。奴らの動きを確認しながら、時間は掛かるけど、此れが一番安全だと思う。

 何しろ奴らには、未だ矢が残っている。それだけは気を付けなければいけない。一発でも食らったら終わりなのは変わらないのだから。どんな毒を使っているか解んないのに、油断することなんか出来ないのだ。

 何時もあたしが使っている、一時的にしびれて行動不能に成る奴でも、食らっただけで、身動きが抱き無くなる。後はどうとでも料理できるからね。そのあたりは、獲物に対して、あたしも遣ってるからよく判っている。奴らにとっては、人間も動物も違いが無いだろうから。

 奴らに動きがあった、マシュー君がオルテガの傷を見出した。鏃には返しがある。だから、迂闊に引き抜いたら悲惨なことに成る。遠目だからなんとも言えないけれど、そのあたりは解っていると見えて、だいぶ慎重な様子だった。

 マシュー君は、知恵遅れの木偶の坊では無かったらしい。あたしは内心彼を応援したくなった。ちゃんと治療しておかないと、後で悲惨なことに成る。

 何しろ、ここには抗生物質も破傷風のワクチンも無いのだから。未だこの世界には、そういった発送自体無いんだけれどね。真面に学校に通わなかった、不良のあたしでもそれくらいは解る。解るだけで、如何したらそういった物を作り出せるか、知らないのだけれど。

 何処かにそういったチートじみた知識持ちの転生者が、居てくれれば助かる。もしも、そういった転生者がいたとしても、出くわすことは無いだろう。

 あたし個人の知りうる範囲は、非常に狭い範囲しか無い。ここには、ネットなんか存在していないし。そういった発明が為されたとしても、火値に義理の権力者によって隠蔽されるだろう。

 どのみち手持ちのカードで勝負するしか無いのだから。あたしに出来ることは、オルテガ君の運が良いことを祈るだけだ。

 あたしは、三人組の短弓の射程圏内から、外れると直ぐ踵を返して。全速力で走り出した。下草が邪魔ではあったけれども、そんなこと気にしては居られない。取りあえず彼奴らから離れたかった。命の遣り取りはお腹いっぱい。



 

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