表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

362/1221

散々な休日 3

 あたしはお喋り野郎の右腕を踏みつけた。情けない悲鳴が上がる。山刀を引き抜こうとしたから、遠慮は要らない。頭を撃ち抜かれないだけ有難いと思ってほしいものだ。

 あたしの体重だから、腕は折れたりしないだろう。しばらく痛い思いはするかも知れないけれど。

 お喋り野郎の身体を踏み台にして、横っ飛びする。あたしがいた空間を、矢が射貫いた。そして、後ろにあった木の幹に突き刺さる。

 空中で身を翻って、撃ってきた奴を視認する。もう一人の中肉中背の奴が打ったみたいである。大男の方は、弓の扱いに慣れていないのか、さっき撃った奴に止められていた。

 そういえば大男は、一言も喋っていなかったのを思い出す。寡黙な男なのか、少し頭が緩いのか、どちらだろう。

「痛ー。マシュー」

 お喋り野郎が、大男を思わず呼んだ。

 真逆こいつら、黒い三人組じゃないだろうな。こんなに連携の取れていない黒い○○○なんて言わないよね。ファンに文句言われるぞ。

 あたしは、着地すると同時に、次の矢を番える。なんか調子出てきたみたいだ。タイマンに成れば、あたしは負ける気がしない。

 少なくとも此奴らの、弓の腕なら間違っても当るわけが無い。何しろ動き回るあたしを、三人がかりで仕留められなかったのだから、当るわけが何のだ。

 子供のあたしの身体じゃ、奴らに捕まったら如何することも出来なかっただろうけど。離れて、弓の勝負なら何とかなっちゃう。未だ、奴らの鏃には毒が塗られているから、当ったら最後なんだけれど。

 何処かの赤い人が言うように、当らなければどうと言うことも無いのだ。何しろあたしは、素早さだけなら小隊の連中より早い。三倍とは言わないけどね。

 取りあえず向かってくる奴を何とかして、お喋り野郎の治療が終わって、参戦してくる前に逃げ切っちまわないと、ヤバいことには違いない。白兵戦は、遣りたくない。

 何しろ相手は、あたしを殺しに来ているのだから。出来れば人殺しに成りたくないと思っている、あたしとは明らかに出来ることが違うのだ。

 殺して良ければ、お喋り野郎の頭を撃ち抜く。其れで、一人は確実に居なくなるからだ。其れを遣っちまうと、何だか後に引けなくなりそうだから、これ以上非道に成れない。この若さで、人殺しには成りたくない。此れが戦争なら、仕方が無いけれど。

 中肉中背の奴は、身を低くして短弓を構えていた。確実に、あたしを射貫く覚悟を決めて居るみたいである。

 勿論あたしは、黙って殺されてやるつもりは無い。急いで木立の後ろに、身を隠しながら、短弓に矢を番える。後方には、マシューがお喋り野郎の治療をしている。結構手慣れているんで、少しばかり焦りを感じた。

 早いところ、中肉中背野郎を片付けないと、厄介なことに成るかも知れない。遣りたくはないけれど、急所狙ったからと言って、当るわけでは無いけどね。


読んでくれてありがとう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ