散々な休日
お互いの姿が見える距離は、人数の多い方に有利に働く。流石のあたしも、三対一じゃ勝ち目が見えない。しかも時間も悪かった、未だ午前中で暗くなる気配すら無いのだから。
昼なお暗い森の中とは言っても、木漏れ日が差しているのだから。此方のアドバンテージはないに等しい。反射神経と目の良さで、あたしは、矢に当らないで済んでいるのだ。
西に向かって逃げながら、あたしの危機感は大きくなってきていた。相手の思惑に乗って、逃げると其処にはゲームオーバーの文字が待っているような気がする。
一寸思うのだけれど、さくらいろのきみに・・・は乙女ゲームだったはずなんだけれど。全く別のゲームのような流れだぞ。恋愛イベントはどこにあるんだ。未だゲームも始まっていないのに、此れってハードすぎない。真逆修正力で、あたし排除されようとしてるの。
本来なら、この先にはデニム家が管理している場所だから、こういったならず者にとっては、行きたくない場所のはずで。其処に追い込もうとしているなんてあり得ない。でも、奴らはそうしようとしている。と言うことは、その先に奴らの仲間が居るのかも知れない。そうなったら、実際如何することも出来なくなる。
三対一ですら難儀しているのに、これ以上敵が増えるのは勘弁して欲しい。あたしは十三歳の女の子なんだよ。
取りあえず、少しばかり危険かも知れないけれど。奴らが行って欲しくない方に向かうことにする。良いように誘導される訳にいかない。
それに、奴らの矢の数もそろそろつきてくる頃だろう。此れまで、奴らは、全部で七本も使っている。三人で何本矢を持ってきているか知らないけれど。残りは十数本だろう。
此れまで、あたしを仕留められなかったところを見ると。それほど腕は良くない。彼の鹿を仕留めるのにも、其れなりに矢を無駄遣いしているはずで。矢が打ち止めになるのも、時間の問題かも知れないのだ。
取りあえず、奴らの思うようには動いてやらないことにする。西には向かわないで、北を目指すことにする。そちらの方には、行ったことが無いけれど、奴らの味方が居る方に行くよりはましだろう。
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