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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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久しぶりの休日 6

 正門を出て、あたしは後ろを振り返る。御屋敷を入っても、城壁に守られた立派な城が其処に有った。さくらいろのきみに・・・のスチルでは、一枚しか無かったけれど。其れも敵兵に蹂躙されているシーンだけだった。

 城門の前には、何時ものように武装した、兵隊さんが二人並んで立っている。その二人は、名前までは知らなかったけれど。顔を合わせれば、必ずお互いに声を掛け合う仲に成っていた。

「気を付けて」

と、兵隊さんが声を掛けてくれる。

「行ってきます」

 あたしは、オウルの足を止めさせて、手を振た。

 視線を上に向けると、空の半分が雲に覆われている。風向きからすると、今晩は雨に成るかも知れない。予定では、午後には帰ってくるつもりなので、なんの問題にもならないはず。

 今日の目標は、最低でもウサギ一匹は確保する。序でに、鳥を何匹か、狩れると良いなと思っている。平民に解放されている狩猟場所なので、あまり多くは望むことは出来ないけどね。デニム家の管理している場所なら、結構獲物が多いのだけれど。其処で狩りをすると、手が後ろに回ってしまうから。気を付けないと。

 久しぶりの休日なのだから、町中に遊びに行けば良いって、皆言うのだけれど。あたしにとっては、山に猟に行く方が楽しいのだから、仕方が無い。特にメイドみたいな仕事をするようになってからは、山歩きするだけでも、良い息抜きになってしまった。

 今日の糧を得るための猟は、あんまり楽しくなかった。狩猟が楽しみになっているのだから、不思議なもんだ。結局、バランスの問題なのかも知れない。

 山の中では全てが自己責任。本人の腕次第で、手に入れることが出来る獲物が決まってくる。そして、へまをすると命取りになる。良い獲物をゲットすると実に気分が良い。

 しかも獲物は、ちゃんと料理すればお腹いっぱいに成る。余計に取ることが出来れば、其れを売ってお金に換えることが出来る。命を奪うことには違いないのだけれど、其処の処は随分前に克服済みです。だって、命を頂かなければ、生きて行くことができないんだよ。

 直接絞める立場になるか、誰かに遣って貰って食べるかの違いだけじゃん。ここまで大きくなるのに、どれだけの命を奪ってきたか解らないのだから。心を込めて、食べて上げなければいけないんだ。

 此れも、この世界に転生して知ったことだ。前世じゃ、そんなこと考えたことも無かった。ここでは、生と死は酷く近くに存在している。特に、平民にとっては生々しい現実なんだ。




 





 

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