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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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久しぶりの休日 4

 実はあたしが、馬に鞍を着けるためには、木箱の上に乗らなければ出来ないのだけれど。それでも、突然声を掛けられるようなことが無ければ、問題なく鞍を掛けることが出来る。だから、誰の手を借りること無く鞍を着けて、一人でお出かけするぐらいは出来るのだ。

 此れは身長さえ伸びれば、なんの問題も無いことなのである。ニコニコしながら、あたしのことを見ているおじさんにムッとした。気配を全く感じさせないで、馬房の中に入ってくるなんてとんでもない。ただの執事じゃ無いのは知っていたけれど。とんでもないわ。

 確かこの人は、本当ならデニム御家族のお出かけの準備で忙しかったはず。其れなのに、何でこんな処に居るのだろう。執事の業務には、馬房の管理は入っていなかったはずだ。

 あたしは不審人物を見るように、思わず見詰めてしまう。基本的に馬の面倒を見るのは、馬に乗る兵隊さん達の仕事で、御家族様達が使う馬は既に馬車につながれている。他に護衛をする予定の騎兵の、馬は同じく用意されている。

 だから、この時間は誰も馬房付近には居ないはずで、あたしは気兼ねなくお出かけできると、思っていたのである。たまの休みだし気兼ねなく羽を伸ばしたいじゃ無い。

「どこへお出かけですか。昨夜もお出かけだったようですが、あまり危険なことはお止め頂けると、私としては気が休まるのですが」

 ヘクター・リントンさんはあたしが落とした、鞍を持ち上げて、オウルの背に鞍を載せながら言ってきた。たぶん、この口調だと目的は知っているよね。それに気に入ら何処かの御嬢様相手の言葉遣いになっている。

 絶対普通のメイド相手に、こんな言葉遣いで喋ることは無いよね。実際背中がむずむずする。辞めてほしいものだ。

「あ、ありがとう御座います。今日は休養日なので、一寸狩りに行ってきます。その獲物をもって、リタに会いに行こうかと思っています。暗くなる前には帰ります」

「狩りなどせずとも、お土産なら用意しますのに」

 リントンさんは、綺麗な礼を見せて言った。ここが馬房じゃ無ければ、素敵な格好なんだろうけれど。ここは綺麗な格好は似合わないよね。乗馬服か作業服だよね。勿論、ドレスなんかは問題外。


 

読んでくれてありがとう。


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