デニムの娘(仮)11
奥様達との話し合いは、お昼まで続けられた。メイドとしては、行けないのだけれど。サンドラさんも話し合いに参加してる。
結論から言うと、あたしの主張が通った。詰まりこのまま使用人として付き合って行くことになった。だって、本当ならあたしは死んだことになっている。だから、もしもデニム家の娘になるのなら、かなり無理遣り養子縁組をしなければならい。そうなると、父ちゃんの承認がいるのだけれど。絶対に、父ちゃんは首を縦に振らない。勿論あたしも、納得しない。
折角マリアを助けて、彼女に悪役令嬢の役回りを押しつけたのに。ここへ来て、貴族になったら、悪役令嬢の役割が、回ってくるかも知れないじゃ無いか。だって、そしたらあまりにも悲惨すぎる。だって、国が押しつぶされちゃうんだよ。
偉いさんだけが、殺されて終わるなら問題ないけれど。かなりの人間が、その混乱と戦渦に巻き込まれて死ぬんだよ。真っ先に押しつぶされるのは、あたしの故郷がやられる。其れは嫌すぎる。だから、良い思いが出来るとしても、あたしは貴族には成らない。
でも、アフターケアのために、マリアのことも心配だから、彼女のなんちゃってメイドを遣ろうって言っている。それでいいことにして欲しいもんだ。
「ねえ。もう一度考えても良いのではない」
マリアがあたしに言ってきた。
因みに、奥様はどうやらあたしを説得することを諦めたみたい。しばらく前から、言葉を口にしていない。逆ギレして、あたしを首にしないか心配に成るほど静かだった。
あたし的には、割の良い仕事を失いたくは無かったけれど。何しろ給金がとても良かったから。扶養家族持ちにとっては、十三歳の娘が稼ごうとすると、身体を売るしか方法が無かった。正直それだけは嫌なのだ。
身体を売るようなことまでして、リタを養育したくは無い。それなら、彼女にも真面な仕事を斡旋した方が良い。たとえば、この御屋敷の洗濯女なんて良いんじゃ無いかと思う。ただ、幼い娘に出来ること何てあまりない上に。職場としてはかなりブラックなのだ。
幼い娘が出来ること何てたかが知れてるし、未だに読み書きの出来ない今の状態じゃ。良い仕事にありつくのは難しい。村に戻って、下働きと言ったところだろうか。其れだと喰うだけに成るから、将来は何処かの農家の嫁が関の山かな。好きな相手なら、其れも幸せだろうけれど。そうで無ければ、身売りと変わらない。
読んでくれてありがとう。




