デニムの娘(仮)2
あたしは、マリアの寝室を抜けて、マリアがいる居間の部屋の扉を開けた。其処には、さっきから変わらない姿のマリアがいた。流石に涙は止まって居るみたいだけれど。それでも、未だめそめそして居るみたい。
この子は、未だ十三歳の子供なのだから、心が不安定になってしまっていても仕方が無いよね。一応あたしは大人のお姉さんなのだから、この子の気持ちを考えて上げなければいけないかな、とは思うのね。でもなー。元不良には如何したら、良いとこの御嬢様を元気づける言葉を知らないのよね。
「御嬢様取りあえずハンカチをお持ちいたしました。涙を拭いてください」
あたしは、持ってきたハンカチをマリアに渡して、彼女の隣の椅子に座った。そっと、背中に手を触れる。ちっちゃいときに、母ちゃんに背中をさすって貰ったときに、気持ちが温かくなっていたことを思い出しながら、と言うかこれくらいしか思いつかなか無かったのである。我ながら情けないけど。
「ありがと」
珍しいことに、マリアがあたしにお礼を言ってきた。少し落着いてきたのかも知れないけれど、未だ元通りに成っているわけでも無いのかも知れない。
「もしかすると、貴方の方が衝撃が大きいのかも知れないのにね。だって、貴方は獣みたいに捨てられたのですもの」
と、マリアが言った。
あたしはマリアが良い子なのは解っていたから、驚いたりはしないけど。マリアだって、きっと複雑だと思うのに。あたしのことを気遣ってくれる何てね。
「何度だって言ってあげるわ。あたしは気にもならないよ。あたしや。今こうして生きてるし。父ちゃんと母ちゃんの子供で良かったって思っているしね。だから、このままあんたのメイド件護衛でいさせて」
ここに来て、立場が激変するのはタマンなし。失職するのも困るのだ。だって、あたしには扶養家族が居るのだから。守ってやらなければいけないしね。ニックが命がけで守ったリタが、安売りをしないで済むようになるまでは、面倒を見てやりたいからさ。
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