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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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押しかけガーディアン 7

 旦那様はあたしが、ここにいたたまれなくなって。辞めるようにしたいのだろう。彼は王都で、悪役令嬢マリア・ド・デニムに色々と、入れ慈恵をしていた節がある。レイが死ぬイベントにも、関わっていたのではと、あたしは思っているのだ。

 半年前の鼠退治で、全ての間者は一掃された訳では無かったんだろう。だって、ヘクター・リントンさんが指揮ていた、部隊の人の何人かが、まだ帰ってきていなかった。あの人は何も言わないけれど、あたしは今だに追跡していると思っている。

 最悪返り討ちに遭ったかもだけど。そんな様子は感じられなかった。

「此れ今日の洗濯物。いつも通りにお願いしますね」

 マリアの洗濯物と一緒に、あたしの洗濯物も一緒に出す。何時もこんな感じでお願いしているのだけれど、きっちり綺麗に洗濯して持ってくるのだ。

 この時代は、その仕事の全てが手仕事になる。だから、洗濯はその専門の人が居る。いわゆる洗濯女って呼ばれる人たちである。スザンヌは、その人達に洗濯物を間違えないように、木賃と仕分けして持って行くのが仕事だ。其れだって、大切な仕事なのである。

 だって、他の人の下着を間違えて渡したら、実際嫌だよね。だから彼女の仕事は地味に重要なのだ。

 まあ使用人が使っている物と、領主ご一家が使う物とは絶対分けられるのだろうけれど。何故か彼女は、あたしの物とマリアの物をあまり分けないで持って行く。

「私なら、喜んで貴族になることを選ぶけどね」

 楽しそうにスザンヌは、マリアの下着の類いをワゴンの下の方に入れながら言った。何時ものことだけれど、少しそうされるのはいたたまれない感じがする。

 何故かあたしが支給されている下着も、マリアの物とあまり変わらない良い縫製の物で、よく見ないと見分けが付かない。最初の頃は、ドリーさんに依怙贔屓は辞めてっていったりしたのだけれど。

 あたしがマリアの影武者するときに、同じ物を着けていなかったら、都合が悪いって説明されて、押し切られたのだ。今思えば、奥様の意向だったのかも知れない。



読んでくれてありがとう。


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