押しかけガーディアン 6
「安。ありがと」
思わずあたしは呟く。頬には笑顔が浮かんでくる。スザンナはいつも通りの態度だった。なんだかんだ言っても、彼女はあたしの見方をしてくれる。本当に有難い。
「処で、貴方本当に生まれてこなかった、御嬢様なの」
扉の鍵を開けようとして、鍵穴に鍵を入れている時に聞いてくる。あたしは思わず鍵を回すのを止めてしまう。
あたしは彼女の顔をまじまじと見詰めてしまう。其れは確かに聞きたいことだよね。その刹那、どう答えた方が良いのか考える。あまりこの子に嘘はつきたくない。だからといって、下手なことを言うと、後で面倒なことになるかも知れない。
「あたしがどう言っても信じてくれないかも知れないけれど。あたしはハーケンの子供だと思っている。だから、誰がなんと言っても私はナーラダ村のリコだわ」
「つまり旦那様がなんと言っても、このまま使用人を遣っていく積リなのね」
「旦那様は、奥様の子供が増えるのには反対みたいだけど」
「それなら、こんなに貴方が双子の片割れだったなんて、言いふらさないでしょ。きっと貴方を、貴族の娘として引き取りたいと思っているのじゃ無い」
あたしは扉の鍵を開いて、スザンナをマリアの部屋に引き入れた。どのみち、彼女には部屋に入ってきて貰わなければ行けないし、あまり誰かに聞かれるような処で、話すわけには行かない。
「一寸待っていてくれれば、洗濯物を持ってくるからさ」
あたしはスザンナに、待っていてくれるように言って、洗濯物をまとめておいてあるところに向かった。正直どう言ったら良いのか解らない。どのみち、あたしは破滅のルートに乗りたくは無いのだから。伯爵令嬢になるのは勘弁して欲しい。だって、デニム家の令嬢が破滅するとき、国が無くなってしまうかも知れないのだから。
スザンナは、気の良い子だけれど。貴族がになっている国防なんて言うことを理解していない。奥様がどんな立場に立っているかなんて、想像することも出来ないのだろう。
このマルーン地方が、国の一番弱い場所だって知らない。お隣の大国が、喉から手が出てしまうほど欲しい場所なのだ。ここを侵略できれば、直ぐに王都を落とすことが出来る。危険な場所なのである。
読んでくれてありがとう。




