此れからのこと 16
「貴方は私のために一緒に行ってくれるの。でも、王都に行くって事は、モンスターだって事がばれちゃうわよ」
早くもデザートを平らげた、マリア・ド・デニム伯爵令嬢画素の栗色の瞳を瞬かせている。何時ものようにからかう表情をしています。よく手入れされた髪の毛は立派なセミロング。因みにその髪を梳いて遣っているのは、このあたしだ。
「大序部。あたしの目は、時々しか光らないから。よほど運が無いと見ることは出来ないから」
あたしは、マリアにしか聞こえないように囁く。あたしとの間にしか聞こえないレベルの、話し方を二人は身につけていた。双子の不思議のせいなのか、この半年の間に、あたし達は内緒話の仕方を身につけていた。声を出さなくても、何故か話す主な会話の殆どが、ドリーさんに聞かれたら小一時間はお説教為れる内容だ。
あたしの瞳は、何故か暗くなると光って見えることがある。何故か双子である、マリア・ド・デニム伯爵令嬢はそんなことは無いのだけれど。あたしだけ夜目が利くし、その気になればかなり遠くまで見ることが出来るのだ。
遺伝子の関係で、そんなことは起こるわけが無いのだけれど。でも、闇夜の中でもかなり明るく見えてしまうのだから仕方が無い。此れも、ゲームのシナリオの都合だと納得するしか無い。この夜目が利く強みは、時々人間に見えないデメリットよりは大きい気がする。
此れから、冒険を遣んなくちゃ行けないあたしには、このアドバンテージは大きいのだ。それに昨夜のストーカーに気付くことが出来たのも、この不思議能力のおかげだった。
フイル・バーグみたいな気味の悪いオッちゃんの動きに、気付くことが出来るってだけでも対した能力だと思う。たぶんこのオッちゃんは、危ない仕事もする男だと思うしね。
だって、全く気配が無かったんだよ。側に付いてくれていた、レイですら気付いていなかった。まるでその動きは、意識していないと見逃してしまいそうになる。かなり腕の立つ間者なんだろう。受けてる命令があたしの暗殺で無くて良かったと思う。
読んでくれてありがとう。




